もしかしたらこれが一番かもしれない
Lumix S1 & S1R

2018/12/04: Release


はじめに


2018年9月のフォトキナで、Lumix S1とLumix S1Rが発表されました。


厳(いか)つくて、見た目の左右バランスが悪いLumix S1シリーズ

発表時期がニコンやキヤノンの重なったのと、外観がとんでもなく厳(いか)ついのと、基本性能は他社と大して変わらないので、当初は全く興味が湧きませんでした。


2018年1月に発売されたLumix G9 PRO(DC-G9)

しかしながら最近4/3サイズミラーレス一眼であるLumix G9 PRO(DC-G9)の出来が良いのを知ったのと、以下の1枚のフォトキナでの発表資料に目を引かれました。


Lumix S1 & S1Rの発表資料

もしかしたら、こいつはニコンやキヤノン以上に待ちに待っていた代物かもしれない。

では、どこがどう気になってなぜそう思ったのか、本機に全く興味の無い方にお伝えしたいと思います。

この冬、どのフルサイズミラーレス一眼を買おうかと悩んでいる方は、必見です。

なおLumix S1とLumix S1Rは、撮像素子以外の仕様は共通と思われますので、本書では以降Lumix S1シリーズと呼ぶ事にします。


高速メカシャッター


それでは早速発表資料のどこに目が行ったのかをお教しえしましょう。

気になった所は、ここです。


これをご覧頂きます様に、Lumix S1シリーズは(直訳すると)高精密ハイスピードシャッターが搭載され、ストロボ同調速度も速いと書かれています。

一般的なフルサイズミラーレス一眼でしたら、メカシャッターの最高速度は1/8000秒で、ストロボ同調速度は1/250秒です。

となるとLumix S1シリーズの最高速度は、恐らくその5割増しの1/12000秒で、同調速度は1/300秒と推測できます。

それだけでも凄いと思われるかもしれませんが、実はこのシャッター速度は、今から25年以上も前にミノルタのα9xiが達成しているのです。


1992年に発売されたシャッタースピード1/12000(X:1/300)秒を達成したミノルタα9xi

となるとLumix S1シリーズは、もしかすると最高速度1/16000秒と同調速度1/500秒を達成するかもしれません。

だとしたら、これはもう画期的としか言いようがありません。

とは言え、メカシャッターで1/16000秒というのはどう考えても現実的に無理だと思うので、ここは余り夢を膨らませないで、最高速度は1/12000秒として話を進めましょう。

なお今どき電子シャッターならフルサイズでも1/32000秒が可能なので、1/12000秒と聞いても驚く人もいないでしょう。

ですがご存知の通り電子シャッターの場合は、(上から下に1/90秒前後で読み込む都合上)左右に動く動体を撮るとローリング歪が生じますので、依然メカシャッターの方が有利なのは間違いありません。


電子シャッターの場合、左右に動く物を撮るとローリング歪が生じる

だったら、左右に動かない動体でしたら、メカシャッターの高速化は必要ないかと言えばそうでもありません。


高速ストロボ同調速度


メカシャッター高速化のもう一つのメリットは、ストロボの同調速度が速くなる事です。

1/250秒から1/300秒ですので、大した差ではありませんが、これによって日中シンクロにおける撮影の幅が広がります。

ご存知の通り、ハイスピードシンクロを使えば同調速度(1/250秒)以上でもストロボを使えるのですが、その場合光量がぐっと落ちるため、明るい日中に使うにはどうしても同調速度以下で使うしかありませんでした。

例えば大光量ストロボであっても、同調速度の1/250秒ならガイドナンバー60なのに、1/500秒のハイスピードシンクロで使うとガイドナンバーは一気に12にまで落ちてしまうのです。

それが僅かな差とは言え、1/300秒までガイドナンバー60のまま使えるのは、ありがたい事です。

そしてもしこれが同調速度1/500秒だったら、殆どの撮影でストロボを最大光量で使えますので、間違いなくエポックメイキングなカメラになります。


メカを向上したのは何とパナソニックだった


そして、この発表資料を見て、もう一つどうしてもお伝えしたい事があります。

それは、メカシャッターの速度を上げてくれたのは、何と生粋のスチールカメラメーカーであるニコンでもキヤノンでもなく、ましてやα9xを生んだミノルタのカメラ部門を吸収したソニーでもなく、何と元々はビデオカメラメーカーであるパナソニックだという事です。

なにしろメカシャッターは、(ボディー内手振れ補正を除けば)デジカメに残った唯一の機械部品ですので、この部分の改良に家電メーカーのパナソニックが手を差し伸べてくれたというのが、正に青天の霹靂です。

そして、もし最高速度1/16000秒とストロボ同調速度1/500秒を達成したら、ニコン、キヤノン、ソニーの面目丸つぶれと言ってもいいでしょう。

ですので、本サイトにおけるパナソニックの好感度は大きくアップしました。

という訳で、折角ですのでこのLumix S1の特徴をもう少しお伝えしようと思います。


空間認識を利用したコントラストAF


Lumix S1の最大の特徴は、空間認識を利用したコントラストAFでしょう。

フルサイズのミラーレス機でありながら、コントラストAFと聞いてガックリされる方があるかもしれませんが、そんな事はありません。


DC-G9の空間認識技術の解説図

これはライビュー中の2枚の画像をサンプリングして、被写体までの距離を推定するもので、これによってコントラスト方式のままで高速のAFを実現しているのです。

4/3(フォーサーズ)のミラーレス機で採用されてから、果たして被写界深度が浅くなるフルサイズにも応用できるのか気になっていたのですが、どうやら問題なさそうです。


空間認識AFが初めて採用されたLUMIX DMC-GH4

一方ソニーやニコンのフルサイズミラーレス一眼は、像面位相差AFとコントラストAFを併用するハイブリッド方式を使っています。

この場合、撮像素子の中に(画像情報として使えない)AF用のセンサーを数万個埋め込む必要があるため、(気が付かないとは言え)少なからず画像に影響します。

ですが空間認識の場合、画像に一切影響しないのです。

ですので、特に画像欠損を少しでも避けたい4K動画には最適なのです。

ただし先ほどお伝えした様に、フルサイズになると、4/3サイズより絞り2段分ほどボケ易く(被写界深度が浅く)なりますので、Lumix S1シリーズのAF精度がどの程度のものか、今後見極める必要があります。

とは言え、Lumix G9 PROのAF速度と精度を見ると、かなり完成度が高まっているのは間違いなさそうです。


大型高精細ファインダー


これもフォトキナでの発表資料にありますが、ファインダー倍率が大きく、高精細との事です。


外観も大きいLumix S1シリーズのファインダー

数値はまだ明らかになっていませんが、これはほぼ間違いないでしょう。

ファインダー倍率は0.83倍で、解像度は396万ドットです。

その根拠は、今まで何度か話に出てきます4/3ミラーレス一眼であるLumix G9 PROのファインダーがその値だからです。


369万ドット、倍率0.83倍のLumix G9 PROのファインダー

以前Lumix G9 PROを調べた際、フルサイズの4分の1しかない4/3サイズミラーレス一眼に、なぜこんなにも高価なファインダーを搭載したのだろうと不思議に思っていましたが、実は後でフルサイズに流用するという周到な計画(魂胆)があったのです。

ちなみにフルサイズミラーレス一眼のファインダー性能は以下の通りですので、Lumix S1シリーズのファインダーがLumix G9 PROと同じだと推測するのも、極めて妥当だと思って頂ける事でしょう。

項目\機種 α 7R III Nikon Z 6 & 7 EOS R ライカSL G9 PRO
画素数 369万ドット 369万ドット 369万ドット 440万ドット 369万ドット
倍率(フル換算) 0.78倍 0.8倍 0.76倍 0.8倍 0.83倍
アイポイント 23mm 21mm 23mm 20mm 21mm
フレームレート 120fps 不明 不明 不明 100fps
遅延時間 不明 不明 不明 不明 5ms

なお上の表でライカSLのファインダー解像度が440万ドットになっていますが、これは本体だけで80万円超の超高級ミラーレス一眼ですので、さすがにこれと同じ解像度をLumix S1シリーズが採用する事はないでしょう。


その他


詳細は追々明らかになっていくのでしょうが、上記以外にも興味深い機能が盛り込まれています。

現在分かっている範囲で、他社機より明らかに優れている点を列記すると以下の様になります。

1. レンズ内とボディー内手振れ補正を協調させたDual I.S.

2. 上下左右に向く3軸チルトモニター(横に向けて回転させるバリアングルとは異なる)


Lumix S1シリーズの3軸チルトモニター

3. XQD/SDのデュアルスロット

4. フルサイズ初の4K60P動画

5. 解像度/ボケ/MTFがトップレベルの50mm F1.4レンズ

これ以外にもLumix G9 PROに搭載されている、電子シャッターを使ったプリ連写、更には深度合成、或いはフォーカスブラケット、絞りブラケット、色温度ブラケット、フォーカスセレクトも搭載されるも間違いないでしょう。


まとめ


さて、まとめです。

今まで述べた7項目(シャッタースピード、AF性能、ファインダー、手振れ補正、モニター、デュアルスロット、動画)が他社より優れているとなると、このLumix S1シリーズはかなりのアドバンテージを持って生まれてくる事になります。

さあ、どうしましょう。

取り合えず、シャッタースピードが1/12000(X:1/300)になるか、それとも1/16000(X:1/500)になるかと、AF精度がどの程度かを見極めてから考えてみたいと思います。

おっと忘れていました。

お値段ですが、競合機より明らかに高性能ですので、恐らく標準モデルのLumix S1でも30万円前後、Lumix S1Rで40万円前後と読んでいるのですが、いかがでしょうか?


もしかしたらこれが一番かもしれない、Lumix S1 & S1R

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