お勧めポートレート用レンズ
(ボケ易い単焦点レンズのベスト15)

2015/4: 初版
2017/2: 更新


  1. はじめに、ボケ量計算結果、ボケ量の比較、No. 1~No. 0
  2. No. 2~No. 6
  3. No. 7~No. 8(ズーム)
  4. No. 9~No. 15、お勧め、まとめ

はじめに



何でもかんでも背景はぼかせば良いというものではないでしょうが、背景がボケたポートレートはやはり魅力的です。

特に被写体が女性の場合、その魅力を一層引き立ててくれます。


例えば上の写真の様に背景がボケてくれると、奥行きを感じながらも、モデルの清爽な雰囲気を浮き上がらせてくれます。

これが背景がくっきり写った写真ですと、真夏の路上で撮った単なるスナップ写真になるかもしれません。

最近のスマートフォンでも、カメラの画素数は既に1200万画素(フルサイズ一眼でも2400万画素前後)にも達しており、精細性(解像度)の面から言えば申し分ないレベルです。

しかしながら、スマートフォンのカメラにおいては、撮像素子は小さく(フルサイズカメラの1/30の大きさ)、それ故レンズの口径も小さく、なお且つ広角系レンズを採用している事から、光量に余裕のある日中に撮影すると(更に絞り込まれ)遠近までしっかりピントがあってしまい、次の写真の様にモデルの背景を徹底的にボカスことなど殆ど不可能です。


更に上の写真の場合、逆光による髪の輝きと、路面からの反射光による均一な光とも相まって、モデルの自然な表情が醸し出されています。

また専用アプリ(デジタル処理)を使って擬似的なボケ効果を作り出す事も可能ですが、下の写真の様に人物の範囲内でボケを作る事は極めて困難です。


上の写真をよく見ると、前髪と右の瞳と唇以外は、微妙にボケているのがお分かり頂けますでしょうか?

そうなる事で、単に柔らかさだけでなく、精緻な美しさも感じられます。

となったら、ボケ効果が期待できる撮像素子が大きなフルサイズの一眼カメラを買って、明るくて望遠系の単焦点レンズを使えば良いのは分かってはいるものの、その中でどのレンズが一番ボケるかは今一つ良く分かりません。

例えば135mm F1.8のレンズと85mm F1.2では、同じ大きさでモデルを撮った場合、どちらの背景が大きくボケるのでしょうか?

   
       Sonnar T* 135mm F1.8 ZA(15万円)  Canon EF 85mm F1.2L(19万円)  

また最近ニコンから発表された105mm F1.4レンズのボケ量は、どの程度なのでしょう?


AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED(20万円)

さらに高価過ぎて手も足も出ませんが、200mm F2.0と300mm F2.8ではどちらがボケるのでしょう。

  
Canon EF200mm F2L(72万円)   Canon EF300mm F2.8L(57万円)

そして価格の割に、背景がボケ易いレンズはどれなのでしょう。

恐らくですが、yahoo知恵袋でそんな質問をすれば、”どれも良いレンズです、ご自分で撮り比べて感性に有ったのがその応えです”、と何だか良く分からないしたり顔の回答がトップに出るのでしょう。

ですが本書は違います。

本書ではフルサイズ対応レンズのボケ量を計算で求め、ボケ易いレンズを定量的にランク付けしてみました。

数値で抑えれば、感覚的ではない正確なランク付けが可能です。

そして最後に、本書お勧めのポートレート用のレンズをご紹介すると共に、上の3枚の写真はどんなカメラにどんなレンズを付けて撮影したかをお伝えしたいと思います。

またフルサイズと比べるとボケ難いと言われている小サイズ撮像素子用の明るい単焦点レンズはどこにランクインするかについても、その場になったらお伝えしたいと思います。

興味のある方は是非ご覧下さい。


ボケ量計算結果


それでは早速、フルサイズ対応短焦点レンズ毎の解放絞りに於ける、ボケ量を見てみましょう。

下の表は、フルサイズ対応のデジカメとレンズを使ってポートレート撮影をした場合における、背景のボケ量を計算で求めたものです。

フルサイズ対応デジカメとレンズに於けるボケ量の比較表
# レンズ 開放値 有効口径 被写体までの
距離
背景までの
距離
被写体の
写る高さ
ボケ 被写界深度
(mm)
1 35 mm F1.4 1.4 25 mm 0.84 m 7.64 m 58 cm 74% 49
2 50 mm F1.8 1.8 28 mm 1.20 m 8.00 m 58 cm 78% 63
3 50 mm F1.4 1.4 36 mm 1.20 m 8.00 m 58 cm 100% 49
4 50 mm F1.2 1.2 42 mm 1.20 m 8.00 m 58 cm 117% 42
5 55 mm F1.2 1.2 46 mm 1.32 m 8.12 m 58 cm 127% 42
6 85 mm F1.8 1.8 47 mm 2.04 m 8.84 m 58 cm 120% 63
7 85 mm F1.4 1.4 61 mm 2.04 m 8.84 m 58 cm 154% 49
8 85 mm F1.2 1.2 71 mm 2.04 m 8.84 m 58 cm 180% 42
9 105 mm F1.4 1.4 75 mm 2.52 m 9.3 m 58 cm 181% 49
10 135 mm F2.0 2.0 68 mm 3.24 m 10.04 m 58 cm 151% 69
11 135 mm F1.8 1.8 75 mm 3.24 m 10.04 m 58 cm 168% 63
12 180 mm F2.8 2.8 64 mm 4.32 m 11.12 m 58 cm 130% 97
13 200 mm F2.8 2.8 71 mm 4.80 m 11.60 m 58 cm 138% 97
14 200 mm F2.0 2.0 100 mm 4.80 m 11.60 m 58 cm 194% 69
15 300 mm F2.8 2.8 107 mm 7.20 m 14.00 m 58 cm 172% 97


具体的には、フルサイズ一眼カメラの標準レンズである50mm F1.4のレンズを使って、1.2 m先の被写体(人物のバストアップ)を撮った場合における、8m先にある点光源のボケの大きさを100%として、レンズ毎に被写体を同じ大きさ(高さ58cm)で撮った場合の背景のボケ量を青字のパーセント示しています。


ですので、例えば85 mm F1.4のレンズを使って被写体を同じ大きさで撮影した場合、カメラから背景までの距離は8.84 mとなり、ボケ量は154%と50 mm F1.4と比べてボケの大きさが1.5倍になるという事を示します。


また下の絵の様に、同じ85mmのレンズであっても、更に明るいF1.2のレンズを使うと、ボケ量は179%となり、85 mm F1.4のレンズと比べ更に1.16倍(=179%/154%)大きくなります。


直径でたったの1.16倍と思われるかもしれませんが、面積では二乗で効いてきますので、上の絵の黄色の面積で比較すると34%ボケ量が大きくなるという訳です。

これで、この表の見方が大凡(おおよそ)分かって頂けましたでしょうか。

ちなみに、背景までの距離は異なりますが、85mmでf1.2~f2.8までのボケの大きさは以下の通りです。


上の写真より、さらに被写体から離れた写真が以下になります。


背景をぼかすには、極力被写体に近づく必要があるのが分かります。




ボケ量の比較


上の表のままですと数値だけで良く分からないので、これをグラフにしたのが以下の図です。


いかがでしょうか?

同じ焦点距離であれば、レンズが明るくなればなるほどボケ量は多くなり、レンズの明るさが同じであれば、望遠になればなるほどボケ量が多くなる傾向が確かに分かります。

ですが知りたいのは、一体どのレンズが一番ボケるかです。

という訳で、早速ボケ量順にソートしてみましょう。


いかがでしょうか?

説明は不要は思いますが、上にあるレンズほど、被写体(モデル)の大きさと被写体(モデル)から背景までの距離が同じであれば、背景がボケ安いレンズになります。

それでは次章から、上のグラフの上位から順に1本ずつ見ていきたいと思います。




ボケ量が大きなレンズのNo. 1

撮影距離:4.8m

恐らくこれが一番興味のある所でしょう。

市販レンズでボケが一番大きなレンズはどれでしょうか?

300mm F2.8か、200mm F2.0か、それとも85mm F1.2か、はたまた135mm F1.8か?

答えは前述のグラフを見て頂く様に、ボケ量No.1は200mm F2.0です。


Canon EF 200mm F2L IS USM(2008/4~)
φ128mm×208mm 2.5kg 72万円

 
 AF-S NIKKOR 200mm f/2G ED VR II (2010/10~)
φ124mm×203.5mm 2.9kg 75万円


これは現在キヤノンとニコンから発売されていますが、1本85万円以上もする高価なレンズで、且つ重さが2.5kg以上もありますので、ポートレートに使うには財政的にも体力的にもかなりの気合いが必要です。

ただしいずれも強力な手振れ補正機能を有していますので、とにかく背景をぼかしたい方にはベストと言えるかもしれません。

おまけにMTFチャートを見ると、いずれも中心部のMTF値は10本/mmのチャートで100%近い値になっているのは驚異的です。


特にキヤノンのEFレンズは、周辺部まで90%以上を維持しているのは絶句です。

ただしモデルの上半身を撮るには、5mほど離れる必要がありますので、屋内で使うにはかなり難しい、というより無理だと思った方が良いかもしれません。

実際135mm程度の望遠レンズですら、屋内で使うと撮れる位置や角度が限定され、かなり苦労します。

なお右上にモデルの上半身を撮影するのに必要な距離を表示しておきます。


No. 0


脱線してしまいますが、ついでにお伝えしておきますと、実は前述の200mm F2.0よりもっとボケ易いレンズが過去には存在していたのです、

それが、キヤノンのEF 200mm F1.8です。


Canon EF200mm F1.8L USM(1988/11~)
φ130mm x 208mm 3kg 45.6万円(発売当時)

このレンズは外観(大きさ)は現行品とほぼ同じだったのですが、さすがに内部のレンズが一回り大きい分、重さは現行の200mm F2.0より500gも重い3kgでした。

ただし、手振れ補正機構と蛍石レンズを使っていなかったせいか、当時の価格は現行品の半分程度でした。

この本レンズが生産中止になったのは、恐らくレンズに鉛を含有できなくなったためでしょうから、この先200mm F1.8のレンズは永遠に発売される事はないかもしれません。

最近の中古市場では、程度により25~40万円で取り引きされている様です。

ちなみにボケ量のチャートにこのレンズを入れると、ご覧の様に断トツ1位になります。


折角ですので、もう一つ興味深い事をお伝えすると、これと同じ光学系を使ったマニュアルフォーカスのNew FD200mm F1.8Lも存在しています。


New FD200mm F1.8L(1989/11~)
φ130 x 208 2.8kg 51.3万円(発売当時)

キヤノン初のAFカメラであるEOS650の発売が1987年ですから、それから3年後に最後のマニュアルフォーカスレンズとしてこのレンズが発売されました。

既に EF200mm F1.8L USMにおいては、生産終了後7年の修理対応期間が過ぎていますので、これからはこちらのレンズの方が価値が出るかもしれません。(中古で20万円前後)

ただしこのレンズをマニュアルフォーカスで使うのは、とてつもなく大変な事なのは間違いありません。

そして次は第2位です。

これは大口径の200mmレンズと比べれば、かなり現実的な価格帯になります。





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