理想の手振れ補正とは?

2016/05: 発行
2018/11: 更新

目次


 1. はじめに
 2. 手振れの種類
 3. レンズ内手振れ補正のメリット
 4. ボディ内手振れ補正のメリット
 5. レンズ内とボディ内手振れ補正のまとめ
 6. 各社の動向
 7. 結論
 8. おまけ


6. 各社の動向


複数の交換レンズを揃える場合、ミラーレス一眼とボディ内手振れ補正の組み合わせが、コスト的には最も理想的なのは間違いないでしょう。

ただし手振れ補正で最も効果的な角度振れ補正については、レンズ内手振れ補正の方が有効とも言えます。

この観点から、各メーカーの手振れ補正に関する思想を見ていきたいと思います。

キヤノン


先ずデジタル一眼レフの2強の一角であるキヤノンについては、現状レンズ内手振れ補正だけを採用しています。

種類 フルサイズ APS-Cサイズ
デジタル一眼レフ レンズ内手振れ補正 レンズ内手振れ補正
ミラーレス一眼 レンズ内手振れ補正 レンズ内手振れ補正

この理由は、やはり手振れの大半を占める角度ブレに有利だから、との判断でしょう。

そう言うと、2016年末に発売されたEOS-M5や2018年に発売されたEOS Rはボディ内5軸手振れ補正を搭載していると思われるかもしれませんが、これは電子式の手振れ補正で動画にしか使えません。


EOS Rの手振れ解説図(本体側は電子式の手振れ補正)

筆者としては、取り敢えず中望遠レンズにレンズ内手振れ補正を組み込んで貰えるのが一番良いのですが、営業上の理由と動画対応のため、いつかミラーレス一眼にボディ内手振れ補正を組み込むのは間違いないでしょう。


ニコン


続くニコンにおいては、キヤノンと異なり2018年発売のフルサイズ対応ミラーレス一眼において、ボディ内手振れ補正を採用しました。

種類 フル(FX)サイズ APS-C(DX)サイズ 1"(CX)サイズ
デジタル一眼レフ レンズ内手振れ補正 レンズ内手振れ補正 N/A
ミラーレス一眼 ボディ内手振れ補正 N/A レンズ内手振れ補正

ただしニコンの場合、SONYと似た撮像素子を使っていますので、何かと競合機となるSONYの対抗上、ボディ内手振れ補正は必須だったのかもしれません。

なおご存じの通り、表右の1インチ(CX)サイズのミラーレス機(Nikon 1シリーズ)は、2018年に生産中止になりました。


ソニー


それに続くソニーは、以下の様な構成になっています。

種類 フルサイズ APS-Cサイズ
デジタル一眼レフ ボディ内手振れ補正 ボディ内手振れ補正
ミラーレス一眼 ボディ内手振れ補正 ボディ内手振れ補正
レンズ内手振れ補正 レンズ内手振れ補正

上記の様に、ソニーはAマウントのデジタル一眼レフがボディ内手振れ補正のみ、ミラーレス機がボディ内とレンズ内手振れ補正を採用しています。

またミラーレス機においては、レンズ内手振れ補正とボディ内手振れ補正を組み合わせる場合は、角度振れはレンズ、その他はボディ内手振れ補正で対応するとの事です。


ソニーの手振れ補正の組み合わせ

ソニーとしては、これを最適な手振れ補正の組み合わせとしていますが、やはり角度振れはレンズ内手振れ補正が優れていると認めている様です。

ですので一般的な撮影用途で、且つ自分が必要とするレンズに手振れ補正が付いている場合は、ボディ内手振れ補正は不要とも言えます。

なお余談ですが、2016/12にα6500が発売されるまでは、APS-Cサイズ対応のミラーレス機にはボディ内手振れ補正は搭載されていませんでした。




α6500(手振れ補正有り)   α6300(手振れ補正無し)

この理由は少しでもカメラ本体を小型化したいためと、このクラスだと角度振れの補正で十分で、且つEマウントレンズを何本も揃える方は居ないと想定していたと思ったのですが、見事に間違えました。

技術が進歩すれば、この大きさのボディーにも手振れ補正を搭載できる様です。


オリンパス


続いてはマイクロ4/3陣営のオリンパスです。

種類 4/3サイズ
ミラーレス一眼 ボディ内手振れ補正
レンズ内手振れ補正

オリンパスのミラーレス機については、当初ボディ内手振れ補正を基本としていたため、レンズには手振れ補正機能は搭載されていませんでした。

ところが、2016/に発売されたM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROからは一部のレンズにレンズ内手振れ補正機能が搭載される様になっています。

この事からも角度振れに対しては、レンズ内手振れ補正の方が優れていると言えるかもしれません。

なおこの望遠レンズの場合、レンズ内手振れ補正だけでも4段分の補正性能があるのに加え、ボディ内手振れ補正とレンズ内手振れ補正を協調動作させる5軸シンクロ手振れ補正(Sync IS)によって、トータル6段分の手ブレ補正性能が得られるとの事です。


M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROとOLYMPUS OM-D E-M1

またこれ以外にレンズ内手ブレ補正を搭載したレンズは、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROで、これとOM-D E-M1 Mark IIと組み合わせると世界最強の6.5段分の補正が可能だそうです。

6.5段分の手振れ補正を可能にした
ED 12-100mm F4.0 IS PROとOM-D E-M1 Mark II

マイクロ4/3は撮像素子が小さいので、その分手振れ補正には有利なのですが、それにしても大したものです。


パナソニック


同じくマイクロ4/3陣営のパナソニックは以下の通りです。

種類 4/3サイズ
ミラーレス一眼 レンズ内手振れ補正
ボディ内手振れ補正

面白い事にオリンパスと異なり、パナソニックは当初レンズ内手振れ補正を基本としていました。

ですが、2013/9発売のDMC-GX7よりボディ内手振れ補正を採用してきました。

推測ですが、動画に力をいれているパナソニックとしては、撮像素子の放熱等の問題から、当初ボディ内手振れ補正を敬遠したのかもしれません。

実際ボディ内手振れ補正を導入したモデル(DMC-GX7、DMC-GX8)も、動画撮影時はボディ内手振れ補正が使えない仕様になっています。

なお2015/8に発売されたDMC-GX8は、(オリンパスと同様)新たにDual I.S.と呼ばれるボディ側の角度ブレ補正とレンズ側の角度ブレ補正を連動させる手振れ補正機能を搭載しました。


DMC-GX8におけるDual I.S.のイメージ図

これによって角度ブレの補正範囲が間違いなく広がりますので、オリンパス同様理論上は最強の角度振れ補正と言えます。

なおこの後に発売されたDMC-GX7IIには回転ブレの補正機能が追加され、5軸手振れ補正対応になっています。


ペンタックス


続くペンタックスは以下の通り異色です。

種類 フルサイズ APS-Cサイズ 1/2.3インチ
デジタル一眼レフ ボディ内手振れ補正 ボディ内手振れ補正 N/A
ミラーレス一眼 N/A N/A ボディ内手振れ補正

ペンタックスは一眼レフでありながら、当初よりボディ内手振れ補正を採用しています。

この理由は、過去のレンズ資産を生かすという意味が大きいと思われます。


ペンタックスK-1の手振れ補正のイメージ図

また最新のフルサイズ一眼レフであるペンタックスK-1は、デジタル一眼で世界初となる5軸手振れ補正で最大5段分の補正効果を実現したとの事です。

ただしこの効果をファインダーで確認できないのが、辛い所です。


フジフィルム


しんがりはフジフィルムです。

種類 APS-Cサイズ
ミラーレス一眼 レンズ内手振れ補正
ボディ内手振れ補正

ここはパナソニックと同様に、当初はミラーレス一眼でありながら、レンズ内手振れ補正を採用していました。

この理由は、画質(特に周辺部の)を最優先するために、ボディ内手振れ補正を考慮したイメージサークルになっていないとの事です。

ところが2018年に発売されたX-H1において、ボディ内手振れ補正を搭載してきました。


フジフィルム初のボディ内手振れ補正を搭載したX-H1

もしかしたら、小さなイメージサークルのぎりぎりを使っているのかもしれません。

それはさて置きフジノンレンズの XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WRにおける5段分の手振れ補正は、確かに被写体が止まって見えます。


フジノンレンズ XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WRとX-T1

一度覗いてみる価値はあります。


7. 結論


以上で手振れ補正についてかなり分かってきたと思いますので、ここで総まとめをしたいと思います。

1. 先ず一般的な撮影においては、角度振れを抑える事が最も重要であり、その場合レンズ内手振れ補正とボディ内手振れ補正の組み合わせが最強で、次がレンズ内手振れ補正、最後がボディ内手振れ補正と言える。


6.5段分の手振れ効果を達成したレンズ内手振れ補正とボディ内手振れ補正

2. ただしレンズ内手振れ補正の場合、今の所ズームレンズか広角と望遠レンズにしか搭載されていないため、もし単焦点の標準から中望遠レンズで手振れ補正を使いたい場合、ボディ内手振れ補正を選択するしかない。


ポートレート用の中望遠レンズでもボディ内手振れ補正が効くα7R II

2. マクロ撮影を頻繁に行うのならば、シフト振れ補正のあるレンズもしくはボディがお勧めである。

3. 手持ちで長時間撮影(夜景撮影)を行うのであれば、回転振れ補正のあるボディ内手振れ補正がお勧めである。

4. レンズを多数揃えるのならば、コストも重量も抑えられるボディ内手振れ補正がお勧めである。

5. ただし使用する交換レンズが限られるのであれば、レンズ内手振れ補正も十分選択肢となる。


それでは最後におまけとして、手振れ補正の種類ごとに対応するデジカメをご紹介したいと思います。

貴方の用途に合ったデジカメ選びの参考にして頂ければ幸いです。




6. 各社の動向/理想の手振れ補正とは?

戻る

3. レンズ内手振れ補正のメリット
/理想の手振れ補正とは?

次へ

8. おまけ
/理想の手振れ補正とは?



ご意見、ご感想等ありましたら是非こちらに。
Your response would be highly appreciated.





ホーム頁へ戻る

サイト紹介


写真やカメラに関するコンシューマレポート、テクニカルレポートは各種ありますが、ここでは余り知られていない耳寄りな情報を、小学生にも分かる様に平易にお伝えしたいと思います。

徐々に更新していきますので、もし宜しければ珈琲でも飲みながらお楽しみ下さい。


▼ 1. デジカメ技術講座

▼ 2. 撮影講座

▼ 3. デジカメ便覧

▼ 4. デジタル一眼の最新情報

▼ 5. フラッシュ

▼ 6. 星空撮影

▼ 7. 番外編

▼ 8. ボケ易い単焦点レンズのベスト15