かなり使える
フレックスレンズシェードSL01

2020/02/11:発行
2020/02/17:追記



はじめに


既にこちら(標準ズームレンズは著しく逆光に弱い)の記事でお伝えしました様に、標準ズームレンズのフードは(広角端以外)全くの役立たずと言って良いでしょう。


標準ズームレンズで発生したフレア一満開の写真

となったら、その際お伝えした以下の方式を使って、自力で何とかするしかりません。

バンドア方式
ハレ切り方式
蛇腹フード方式

という訳で、今回はその第一弾としてバンドア方式で遮光対策を実施します。


バンドア(barn door)とは納屋の扉という意味

とは言え、照明器具からバンドアを外してレンズの周囲に装着するのも難しいので、今回は市販のバンドア風の遮光板である、フレックスレンズシェード SL01 を使用します。

 
標準ズームレンズのフードに装着したフレックスレンズシェードSL01

この場合、焦点距離によって開口角度を変えられるというのが最大の特徴であり利点にますので、焦点距離の変わるズームレンズにとっては最適なフードと言えます。

またそれ故の弱点として、焦点距離によって開口角度を変えなければいけない事と、1枚装着の場合、上下左右のどれか1方向からの光しか遮れないという事です。

ですが先に結論を申し上げますと、(いつも辛口の本サイトが言うのも何ですが)これは非常に有効で便利でしかも携帯性も優れていますので、逆光撮影される機会が多い方は是非参考にして頂ければと思います。


商品紹介


TVショッピングではありませんが、それでは先ず商品のご紹介からです。

HOGANのフレックスレンズシェードには小型レンズ用のSL01と、大型レンズ用のA001がありますが、今回使用したのはSL01です。

    
パッケージの表面

パッケージの写真を見て頂ければ分かると思いますが、鏡筒もしくはフードの先端に遮光板をマジックテープ付きのバンドで取り付ける事になります。

現品を見る前は、てっきりいつもの中国製だと思っていたのですが、パッケージを見る限りどうやら中身もパッケージも正真正銘のメイドインUSAの様です。

そして特に本書の目を惹いたのは、パッケージ裏側にあった以下の記述です。


パッケージ裏面の記述

スペック欄に、Ballistic Nylonと書かれているのです。

ご存知の方は少ないでしょうが、Ballistic(弾道) Nylonとはデュポンが軍事用に開発したナイロン繊維で、 このジャケットを着用する事で兵士を弾丸や砲弾の破片から守ってくれるという訳です。


デュポンが軍事用に開発したBallistic Nylonを使っているフレックスレンズシェードSL01

純中国製の布製品でしたら、数回使えばほつれてきそうですが、これでしたら多少手荒に扱っても大丈夫そうです。

この遮光板の中央部分に針金が数本入っているだけなのですが、意外に自由に変形できます。

おまけにもう一つ感心したのは、鏡筒やフードに接触する部分にゴム材、それも滑り止め効果を持たすため凹凸の入ったゴム材が貼り付けてある事です。(2020/02/17:追記)


レンズに接触する部分にキズ防止兼滑り止めの凹凸のあるゴム材が貼付されている

デュポンの特殊なナイロンといい、このゴム材といい、材料系にこだわりのある技術者の匂いがします。

HOGAN社自体は、西部劇でおなじみのカリフォルニアのサクラメントに居を構えており、もし工場もサクラメントだとすると、縫製も丈夫なGパン並みの耐久性を備えているかもしれません。

サイズは遮光板の部分が18×13cm程で、重さは30gとピーマン1個分ですので、思ったより軽い印象です。


使用感


実際に使用して感じた問題は、以下の2点です。

①ベルトを遮光板の輪に通す際、ベルトのマジックテープが輪の内側に引っ掛かって難儀する。

②ベルトのマジックテープ接合部が、剥がれにくいフック面とループ面の接合ではなく、それより剥がれ易いフック面同士の接合になる。


マジックテープの接合部がフック面同士になるが、取り敢えず使える

逆に言えば、これくらいしか気になる所が無いので、むしろ良い製品だと言えるかもしれません。

なお②については、フードと遮光板の双方にマジックテープを貼付すれば、更に装着時間を短縮できるかもしれません。


遮光効果


それでは、最も気なる遮光効果です。

一般的なレビューでしたら、ここで遮光してない写真と遮光した写真をアップするのでしょうが、当然ながら本書は違います。(遮光有無の写真についてはこちらへ)

そんな写真を見ても、レンズやフィルターの逆光特性を知るだけです。

本書の興味は、これによってどれくらいの角度の直射日光を遮れるかです。

下の図は本サイトでお馴染みの、24-105mmの標準ズームレンズに本品を装着して、どのくらいの角度の直射日光を遮る事ができるかを表した図です。


24-105mm標準ズームレンズにフレックスレンズシェードSL01を付けた場合

これをご覧頂きます様に、焦点距離24mmの広角端に装着すれば、48度以上の直射日光を遮る事ができ、望遠側の105mmに調整すれば、30度以上の直射日光を遮る事ができます。

ちなみに専用フードの場合、焦点距離に関わらず常に70度以上の直射日光しか遮る事はできませんので、それから比べればかなりの効果です。

なお48度とか30度の直射日光と聞いてもピンと来ないと思いますので、これを北海道、東京、沖縄の春分/秋分の日の時間で表せば以下の様になります。

照射角度\場所 那覇 東京 札幌
30度
(望遠)
8:45

16:30
8:15

15:15
8:30

15:00
48度
(広角)
10:15

14:45
10:15

13:30
11:45

12:00
春分/秋分の日にSL01を使って直射日光を完全に遮る事ができる時間帯

この表の見方ですが、例えば春分の日に東京で撮影する場合、この遮光板を装着して焦点距離105mmで撮影すると、8:15~15:15まではカメラを水平にして撮っている限り、直射日光を完全に防げる(レンズに全く直射日光が当たらない)事になります。

逆に言えば、8:15以前、或いは15:15以降は、これを付けてもレンズ前面に光があたる事になります。

また専用フードの場合、春分の日の東京では太陽が一番高くて55度ですので、逆光でとれば1日中レンズ正面に直射日光が当たる事になります。

これからすれば、本品はかなりお勧めではないでしょうか。


このフレアは防げたのか


さて、ここまで分かってくると、本書としてはもう一つ知りたい事が出てきます。

それは先ほどお見せした以下の写真において、この遮光板を付けていたら、このフレアを防げていたかどうかです。


安いフィルターを装着したせいもあり、フレア一満開の写真

写真の撮影情報(Exif情報)から、撮影日や撮影時間が分かりますので、それから太陽の照射角度が分かります。

調べた所、当該写真における照射角度は40度で、焦点距離は50mmの縦位置撮影です。

これを作図すると以下の様になります。



これをご覧頂きます様に、この遮光板で完全に太陽光を防げるのは、照射角度42度までになりますので、この場合でしたら僅かに太陽光がレンズ正面に当たる事になります。

この場合、縦位置撮影なので水平方向の画角が広がってしまうせいもあるのですが、バックにある樹の花や葉を逆光で光らせるためには、太陽が傾いた方が有利ですので、この遮光板ですとまだ少々長さが足りないという感じになります。

という訳で本書の結論としては、紙等でもう少し遮光板の長さを延長した方が良い、としたいと思います。

なお既にお伝えしました様に、本品には大型レンズ用のフレックスレンズシェード A001があるのですが、バンドが大径用になっているだけで、遮光板のサイズはSL01と同じ様です。


まとめ


それではまとめです。

①HOGANのフレックスレンズシェードは、遮光性の低い標準フードの性能を補うには、装着のし易さ、効果、携帯性、コストから考えると最適である。

②ただし、垂直方向で画角の広がる縦位置撮影や、逆光で背景を光らせたいで人物撮影を撮る場合は、もう少し全長が長い方が良い。

③そのためには、延長用のヒサシをハンドメイドで作る事をお勧めする。


もし機会がありましたら、それら追加情報を追記しますので、またお暇な折に覗いてみて頂ければ幸甚です。




かなり使えるフレックスレンズシェードSL01





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