EOS R-1の基本スペック

2021/04/13:発行

はじめに


EOS R-1の噂がボチボチ立ち始めてきました。


EOS R-1はグローバルシャッターを搭載するのか?

Canon Watchの情報によるとEOS R-1のスペックは以下との事で、俄(にわ)かに信じられないほどの高性能機です。

グローバルシャッター搭載
8500万画素で秒速20コマ、2100万画素で秒速40コマの高速連写
クワッドピクセルCMOS AF搭載
15.5EVのワイドダイナミックレンジを実現
ISO160-1638400の高感度
9段分の手振れ補正
3.5型933万ドットで120fpsの高輝度背面モニター採用
944万ドット120fpsの電子ビューファインダー
8500ドル(940万円)

そうなると幣サイトの悪い所で、本当にそうなるのか、ついつい疑ってしまいます。

そんな訳で、特に基本性能であるグローバルシャッター、画素数と連写速度、クワッドピクセルCMOS AFの実現性についてじっくり考えてみたいと思います。




クワッドピクセルCMOS AF


順番が逆になってしまいますが、先ずは予想が簡単な所でクアッドピクセルCMOS AFの実現性について考えてみます。

これが採用されるのはほぼ間違いないでしょう。

何しろ下に有ります様に、既にキヤノンからクアッドピクセルCMOS AFに関するパテントが出されているのですから。


クアッドピクセルCMOS AFの解説図(1画素に4つの受光素子がある)

更にこの前身であるデュアルピクセルCMOS AFについても、十分な実績とノウハウが積み上げられています。


デュアルピクセルCMOS AFのイメージ図

そしてこのクアッドピクセルCMOS AFを使えば、従来の縦線しか検知できなかったミラーレス一眼において、ようやく横線も検知できます。

さらにです。

これを使えば斜め線をも検知できるのです。

という事は、これでようやく一眼レフ並みの測距精度が実現できる事になります。

となると、これを搭載した第1号機は、当然ながらキヤノンのフラッグシップ機であるEOS R-1になるのは極めて妥当な事でしょう。


画素数と連写速度


続いては、EOS R-1の画素数と連写速度です。

Canon Watchの情報によれば、8500万画素のときは秒速20コマ、2100万画素のときは秒速40コマとの事です。

この2100万画素とは一瞬クロップの時かなと思ったのですが、8500万画素のAPS-Cサイズのクロップですと3300万画素です。

更によくよく考えると、8500万画素とは2100万画素のほぼ4倍ではありませんか。

すなわちQuad(4個)です。

それで思い出すのが、先程お伝えしましたクアッドピクセルCMOS AFです。


クアッドピクセルCMOS AFの解説図(1画素に4つの受光素子がある)

この場合、1画素が4つに分かれていて、測距時には4つの受光素子の受光量を読み取る事ができます。

という事は、本来EOS R-1は2100万画素機なれど、いざとなればクアッドピクセルCMOSの4受光素子を4画素として、4倍の8500画素機としても使える様にするのではないでしょうか?

従来の1画素を2分割するデュアルピクセルCMOSにおいても、折角受光素子が画素数の2倍あるのだから、いざという時は2受光素子を2画素とするデュアル画素対応機にすれば良いのにと思っていたのですが、一つの受光素子が長方形(左下の図参照)のため色補完が難しかったのかもしれません。


デュアルピクセルCMOSの場合、1受光素子が長方形になる

それに対してクアッドピクセルCMOSの場合、1受光素子が右上の図の様にスクエア(正方形)になりますので、補完が比較的容易なのかもしれません。

ただし(そうは言っても)純粋なベイヤー配列より他の色の素子が離れた所にあるので、当然ながら純粋なベイヤー配列より画質は劣る事になります。

またこの場合、ローパスフィルター(LPF)を使うとなると、低画素(2100万画素)時は1本の光を4分割するだけで済むのに対して、高画素(8500万画素)として使うの場合は1本の光を16分割する必要があります。

さすがにキヤノンもそんな面倒な事はやらないだろう思いきや、実はもうキヤノンはやっていたのです。

それがEOS-1DX MarkIIIに採用された、GD(Gaussian Distribution)ローパスフィルターと呼ばれる16分割の新LPFです。


EOS-1DX MarkIIIの新LPFの説明図(4分割→16分割)

EOS-1DX MarkIIIでの説明では、”偽色や輝度モアレを効果的に抑制しつつ、従来のローパスフィルターより高い解像感を達成する”とありますが、実はEOS R-1への布石(事前準備)も兼ねていたのではないでしょうか?

そんな訳で、EOS R-1は基本2100万画素で、いざとなったら8500万画素も使えますよという、デュアル画素対応機になるという可能性は十分ありそうな気もします。


ソニーのクアッドベイヤーのイメージ図

早い話がソニーがスマートフォン用の撮像素子で採用しており、一時期SONY α1で採用されるのではないかと噂されたクアッドベイヤーの思想をキヤノンが先にフルサイズで実現するという訳です。


グローバルシャッター


それでは最後に、グローバルシャッターについて考えてみます。

確かにグローバルシャッターになれば、画像歪みも無くなりますし、メカシャッターも不要になり、ストロボも全速同調可能になり、フリッカームラも無くなると、高価な事を除けば良い事ずくめに思えますが、当然ながら世の中そんなウマイ話はありません。

そもそもグローバルシャッターとは、ローリングシャッターが一ラインずつ順番に読み取っていくのに対して、どこかに各画素が一斉に読み取った電荷なりデータを一時貯えておき、それを後で読み取っていく事になります。


ローリングシャッターとグローバルシャッターの違い

このどこかというのが曲者で、一般的には撮像素子の1画素の中にこの貯蔵庫を作る事になります。

そうなると、当然ながら1画素の受光面が小さくなるので、ISO感度も低くなり、ダイナミックレンジも狭くなり、ノイズも増えます。

その結果、EOS R-1はついに世界に先駆けてグローバルシャッターを搭載しました、でもISO感度とダイナミックレンジと画質は従来機より劣りますと言われても、喜ぶ人は殆どいないでしょう。

ましてやEOS R-1が1画素の中に4つの受光素子を持つクアッドピクセルCMOS AFを採用するとなると、一体どこにそんな貯蔵庫を作るスペースがあるのでしょうか?

また矛盾した話になりますが、件(くだん)のCanon Watchの情報によれば、EOS R-1の最大ISO感度は1,638,400(1.6M)との事です。

恐らくこれは増感ISO感度なのでしょうが、それでもこれはNikon D6の増感ISO感度である3,280,000(3.2M)に次ぐ高感度なのです。


各社のフルサイズカメラのISO感度スパン(最大常用ISO感度順)

またEOS 1DX MarkIIIの増感ISO感度である819,200(0.8M)よりも優れているのです。

更には1200万画素のα7S IIIの増感ISO感度である469,600(0.5M)より2段分も優れているのです。

そんな訳で、もしこのISO感度情報が正しいとするならば、EOS R-1はグローバルシャッターとクアッドピクセルCMOS AFを搭載しながら、更に感度も良くなったという、どうみても常識では考えられない事が起きるのです。

昔から言われる天は二物を与えずとは、正にこの事です。

そんな訳で、EOS R-1にはグローバルシャッターは採用されないというのが、本書の結論です。


まとめ


それではまとめです。

①EOS R-1は、全域縦横斜めのAFが可能になるクアッドピクセルCMOSを採用する可能性は十分ある。

②これによって、基本は2100万画素で秒速40コマ、拡張で8500万画素で秒速20コマを達成できる可能性もある。

③ただしグローバルシャッターは、ISO感度とダイナミックレンジと画質が従来機より低下する事から、EOS R-1に搭載される可能性は極めて低い。


果たして結果はどうなるでしょうか




EOS R-1の基本スペック





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