EOS Rの欠点はどこまで解消されたのか(その1)

2020/10/07:発行

目次



はじめに


EOS Rが2018/10に発売されてほぼ2年。

ついにEOS R5とR6が発売されました。

となると、幣サイトが心を鬼にしてEOS Rで指摘した26の欠点が、どこまで解消されたかが気になる所です。

そんな訳で、早速調べてみましたので、結果をお知らせしたいと思います。

今回は前半の1~10項目です。



1. またもや左肩の電源スイッチ


幣サイトが思うEOS Rの最大の欠点は、決して片手で操作できない左肩の電源スイッチです。



EOS Rの電源スイッチは左肩にある

にも関わらず、EOS R5もR6も左肩の電源スイッチが踏襲されました。

一体何故なのでしょう。

と思ったら、これに関して楽天infoseekにキヤノンのインタビュー記事が載っていました。

その抜粋が以下になります。

インタビュア:電源スイッチの位置や形状はEOS RやEOS RPと同じですが、これがベストなのでしょうか。

キヤノン:電源スイッチは、この位置が使いやすいと私たちは考えています。

理由としましては、トップカバー右側は撮影に関する操作をまとめ、電源ボタンの誤操作を防いでいます。

また、EOSの特徴として、シャッターボタンまわりの造形を重要視しています。

ですので、他社のようにシャッターボタンの周りに同軸で電源スイッチを置くのは、EOSではおそらくないかなと考えています。

もちろん、右手で電源を操作したいという要望があることは十分理解していますので、今後も継続的に検討していきたいとは考えています。

これを読んで正直唖然としてしまいました。

(誤操作防止が屁理屈だとすれば)キヤノンは機能性や操作性を犠牲にし、さらに市場の声をも無視して、造形を重視した結果、電源スイッチをしつこく左肩に設けたと言い切っているのです。


一眼レフ時代から引き継がれたシャッターボタン周辺の造形

確かにEOSシリーズのシャッターボタンは、キヤノン初のオートフォーカス機となるEOS 650からボタン周囲を指の形状にへこました造詣が特徴になっています。(正確には1986年に発売されたマニュアルフォーカス機のT90から)


キヤノン初のAF機となるEOS 650(1987年発売)

ですがシャッターボタンの周囲に電源スイッチのある他社機と比べて、指の収まりが良いとか、操作感が優れているとかいう印象は全くありません。


操作性に何の不満の無い他社機(Nikon Z 6とα7 III)のシャッターボタン

また一眼レフと違って電池の消耗が早いミラーレス一眼なのですから、当然ながら一眼レフと違う操作系が必要になります。

となれば、機能を優先して右側に電源スイッチを配置すべきでしょう。

少々突飛な例になるかもしれませんが、誰しも名機と呼ぶ事にご異論のないであろうNikon Fにおいては、構造上シャッターボタンが背面に寄ってしまっているのですが、それを問題視する人は殆どいませんでした。


Nikon Fのシャッターボタンは背面に寄っている

何故ならば、そんな事より、機能が格段に優れていたからです。

にも関わらず、ユーザーにとって何の役にも立たない(30年以上も前の)造形のために、機能性を犠牲にするなんて在り得ない話でしょう。

一体キヤノンは何を考えているのでしょうか?

EOSの設計思想は、快速・快適・高画質だったのではないのでしょうか?


2. レンズの根元にないコントロールリング


次はレンズの先端に追加されたコントロールリングです。


RFレンズに追加されたコントロールリング

今さら言っても始まらないのでしょうが、これは本当に使いづらい。

先日RF35mm F1.8のレンズをマニュアルフォーカスで使う場面があったのですが、何度このコントロールリングを回したか分かりません。

ゴムのフォーカスリングとプラスチックのコントロールリングでは触感が違うとは言いながら、瞬間的に判断するのは至難の業です。

フォーカスリングだと思って回してみると、カチカチとクリック感がすると、がっくりきてしまいます。

それだけでは終わりません。

もしフォーカスリングに絞り等の機能を登録していたとすると、元に戻すためにまたカチカチと逆方向に同じ分だけ回さないといけないのです。

何が楽しくて、(時間が無いときに)こんな無駄な事をしなければならないのでしょう。

恐らくアンケートを採っても、このリング位置を好ましいと答える方は、100人中1人もいらっしゃらない事でしょう。

キヤノンには是非この言葉を贈りたいと思います。

過ちを改めざる事、これすなわち過ちなり。


3. 意味の無いズームリングロックレバー


これもいくら言っても無駄でしょうが、RF24-105mm F4 L ISの鏡筒に付いているズームリングロックレバーは不要です。


RF24-105mm F4 L ISに付いているズームリングロックレバー

これも是非アンケートを採って頂きたいのですが、このロックレバーを使っている人は世の中にいないと断言したいくらいです。


何度持ち歩いても自然に伸びた事がないズームレンズ

なぜこんな物が付いているかと言えば、恐らくキヤノンにもキヤノンの全ユーザーを代表していると自負している声の大きなご意見番が数人いらしゃるのでしょう。

ですが、それが大多数の意見かと言えば、全くそうではないのです。

故にサイレントマジョリティーと呼ばれるのです。

そんな大きな勘違いをしているご意見番のために、大多数のユーザーに無駄な出費を強いるのは、何としても止めて頂きたいものです。

何故この様な事を長々と述べるかと言えば、似た様な話がこれからも続々と出てくるからです。


4. 外し難いレンズフード


そのもう一つの例が、レンズフードのロック解除ボタンです。


       RFレンズフードのロック解除ボタン

ご存知の通り、一般的なレンズフードは、レンズに装着後ひねってクリックを超えた所で固定する様になっています。

ですので外すときも、フードを反対側にひねれば簡単に外れます。

ところが、RFレンズ(EFレンズも)のフードを外すには、先ずそのロック解除ボタンの位置を手探りで探し出さないといけないのです。

恐らくこう言うと、前述のご意見番はこう言うのでしょう。

フードが確実にロックされないと、フードが回転して画像のケラレや、フードの落下が発生するので、どうしてもこの様な確実なロックが必要なのだと。

ところが、例えロック式であっても、ロック位置までフードを確実に回転させていなければ、当然ながら画像のケラレや、フードの落下は発生するのです。

ロック式とクリック式の違いは、ロックとクリックによる解除時の重さの違いだけの話で、信頼性には全く寄与しないのです。

ならばロック式の方が、外乱による影響を受けにくいかと言えばそうでもありません。

レンズフードは当然ながら筒型ですので、ぶつけたり、振動を与えた所で、筒を円周方向に回す力など、どうやっても発生しません。

実際、故意にクリック式のレンズフードを外そうと思って、振ろうが擦ろうが、どこかにぶつけようが1時間格闘しても無理でしょう。

だったらクリック式で十分でしょう。

実際他社の大多数のレンズフードは、クリック式です。

実際キヤノンのレンズも、以前は全てクリック式だったのです。

元記事でも書きました様に、もしクリックが弱くなるのであれば、耐久性のある材料に変えるだけで良いのです。

ついでに言わせて頂ければ、レンズの先端にフード用のリブを追加して、フードを回転させてクリックで固定する方式は、キヤノンが世界で初めて採用したのではないでしょうか。

当時のフードは、フィルター用ネジへのねじ込み式か、やはりフィルター用ネジに引っ掛ける方式でしたので、このキヤノン方式は付け易くて外れ難いと、それはもう画期的なものでした。

にも関わらず、暗闇でレンズフード一つ外すのに四苦八苦させられるのはうんざりです。

気のせいかもしれませんが、撮影現場でレンズフードを逆に被せたままカメラを構えているのは、キヤノンユーザーが多いと感じるのは、このせいかもしれません。


フード逆付けでのFE 85mm F1.2 Lの撮影風景

もしそうならば、本末転倒でしょう。

いつかこのロック機構のストッパー部をヤスリで削って、クリック式と同じ様にフードをひねるだけで簡単に取り外せる様にしてやろうかと思う、今日この頃です。

実施の暁には、またご報告させて頂きます。


5. 消えたマルチファンクションバー


EOS Rの発売当初から、何かと話題のマルチファンクションバーは、とうとう削除されていまいました。

止むを得ないと思う反面、動画には使えそうだったので、一応以前書いた記事を以下に貼っておきます。

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キヤノン初のフルサイズミラーレス一眼であるEOS Rには、マルチファンクションバーなる入力装置が付いていたのですが、その後発売されたEOS R5やR6からは、しっかり消え失せてしまいました。


評判が思わしくなかったマルチファンクションバー

ちなみにこれで何が設定できるかと言えば、①絞り、②シャッタースピード、③ISO感度、④露出補正の4項目です。

それ自体特に悪い事ではなにのですが、これが使われなくなった最大の理由は、ひとえにクリック感が全く無かったからではないでしょうか。

なにしろデジカメで一般的な電子ダイヤルにクリック感が無ければ、それはもう使いづらくなるのは、何方も容易に想像できる事でしょう。

と、ここまでは良く聞く話でしょうが、これからが本題です。

この静止画撮影では全く役に立たないマルチファンクションバーですが、動画においては結構優れ物なのです。

例えば、動画撮影中に絞りを変える事によって、背景を徐々にぼかしたり、逆に徐々にくっきりさせたりと、普段と一味違った撮影が可能になるのです。

当然ながら電子ダイヤルでも可能なのですが、マルチファンクションバーを使えば音もなく、且つカメラ本体に振動を与える事もなくそれが可能になります。

更に言わせて頂ければ、このマルチファンクションバーにマニュアルフォーカス機能が備わっていれば、徐々に手前から被写体、そして背景にピントを合わせる様なお洒落な動画撮影も可能になります。

今さら何を言ってもマルチファンクションバーが復活する事はないでしょうが、備忘録を兼ねて書いておきます。


6. 本領発揮のモードダイヤル


次はモードダイヤルです。
EOS Rのモードダイヤル

ご存知の通り、EOS Rのモードダイヤルは、ダイヤル中央のMODEボタンを押して、次にその周囲の電子ダイヤルを回さ、最後にもう一度MODEボタン(もしくはシャッターボタン)を押して確定しなければなりません。

一方通常のモードダイヤルでしたら、ダイヤルを回して好みのモードを選択するだけ済みます。

すなわち、通常のモードダイヤルが1工程で済むのに、EOS Rは3工程も必要なのです。

そんな愚痴をこぼしていた所、EOS R6においては(EOS RPと同様)通常のモードダイヤルを右肩に持って来てくれました。

その使い易さと言えば、言葉に表せないくらいです。

にも関わらず、EOS R5は依然この3工程モードダイヤルを踏襲しているのですから、困ったものです。

と言いたい所ですが、そうでもないのです。

EOS R5とR6の差は、画素数と8K動画に目が行ってしまいますが、動画の撮影モードにも大きな違いがあるのです。

下はEOS R5における動画の撮影モードのメニューなのですが、ご覧の様にシャッター優先やら絞り優先等、何と8種類もあるのです。


EOS R5には動画の撮影モードが8種類もある

ですので、EOS R5のモードボタンを押して、その後INFOボタンを押すと、モードダイヤルが静止画用から動画用に切り替わって、上の8種類のモードを(静止画の撮影モードと同様に)ダイレクトに選択できる様になるという訳です。

一方EOS R6の場合は、動画で選択できるモードは下の様に自動露出とマニュアルしかないのです。


EOS R5には動画の撮影モードが2種類しかない

実はEOS Rも8種類の動画撮影モードが存在していたのですが、クロップでしか撮れないと思うと、この機能の有難みは殆ど感じませんでした。

ですが、動画機能が大幅にアップしたEOS R5においては、このモードダイヤルの本領が発揮できたという訳です。


7. やっぱり使い難いバリアングルモニター


モニターの可変方式に関しては、ほぼ結論が出たと思って良いのではないでしょうか。

静止画主体であればバリアングル、動画主体であればチルト式、そして少々高価になるものの両方が可能なハイブリット式です。


モニターを180度開かないと、モニターを上にも下にも向けられない

となると、EOS R6にはチルト式を採用して欲しかったのですが、願いは叶いませんでした。


チルト式は操作が簡単

いつか、幣サイトのこのささやかな願いを、叶えて頂く事はできないものでしょうか。


8. 引き出しても消えるモニター表示


EOS Rにおいては、バリアングルモニターを引き出しても、モニター表示に固定されないという情けない問題がありました

細かい説明は不要とは思いますが、モニターを引き出して使っていても、ファインダーに指が近づくと、モニターの表示が消えてファインダー表示にに切り変わってしまうのです。

なんだその程度の事かと思われるかもしれませんが、モニターを見ながら撮影している最中にモニターが点いたり消えたりしたら、たまったものではありません。

ところがEOS R5やR6においては、下のメニューにあります様に、モニターを開いたら表示はモニターに固定できる様になりました。



これで、本件については一件落着としたかったのですが、残念ながら真逆でした。

何故ならば、この表示をモニター側に固定できるのは、バリアングルモニターを180度開いたときだけなのです。

すなわち、バリングルモニターを僅かに引き出した状態ですと、依然ファインダーに指を近づけると表示がファインダーに変わってしまうのです。

バッカじゃないの、と言いたくなる気持ちは分かって頂けるのではないでしょうか。

例えば、下の写真の様にモニターを僅かに引き出して縦位置撮影しようとすると、相変わらず指をファインダーに近づけるとモニターの表示が消えてしまうのです。


この状態ではモニター表示固定にならないEOS R6

この場合、シャッターボタンが下になるので、一般的な縦位置撮影より多少使い難くくなるものの、モニターがレンズの光軸に近いので構図が決め易くなります。

ところが、依然モニターが点いたり消えたりするのです。

誰がどう考えても、おかしいでしょう。

もっとサイレントマジョリティーの声を聴けと言いたくなります。


9. 暗いと全く見えないファインダー


今までは操作系の話でしたが、次は性能に関する指摘です。

EOS Rの公式HPを見ると、下の様に星空でも被写体が見える筈なのですが、実際に★を撮りに行った所、星の点は見えるのですが、それ以外は真っ暗闇です。


EOS Rの公式HPにある暗闇でのファインダーの見え方に関する記載

どうみてもこれは間違いではないかと思っていたのですが、さすがにEOS R6では改善されました。

では暗闇でも上右の写真の様に見える様になったかと言えば、勿論そうではありません。

EOS R6においては、HPの記載が以下の様に変更になりました。


EOS R6で変更されたHPの記載

ならばEOS Rの記載も変えるべきだと思うのですが、なぜ対処しないのでしょう?


10.使相変わらず使えないエコモード


EOS Rのエコモードは、何もしないでいると2秒後には画面が暗くなって、10秒後にあらゆる画面が消えるというものです。


ですのでファインダーを覗いている分には良いのですが、モニターを使って撮影をする方でしたら、二度と使わないモードと言えます。

さすがにこれは改善されているだろうなと思ったら、何も変わっていません。

EOS R5もR6も基本性能は大幅に向上していながら、何故この様な所は手を抜くのでしょうか?

本当に謎です。


ここまでのまとめ


最後にここまでのまとめをしておきましょう。

内容 対策
1. またもや左肩の電源スイッチ
2.レンズの根元にないコントロールリング
3. 意味の無いズームリングロックレバー
4. 外し難いレンズフード
5. 消えたマルチファンクションバー 済み
6. 本領発揮のモードダイヤル 済み
7. やっぱり使い難いバリアングルモニター
8. 引き出しても消えるモニター表示 不十分
9. 暗いと全く見えないファインダー
10. 相変わらず使えないエコモード.

愚痴はまだまだ続きます。




EOS Rの欠点はどこまで解消されたのか(その1)




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