EOS Rの欠点はどこまで解消されたのか(その3)

2019/10/11:発行


目次



21. 詰めの甘いFvモード


FvモードもEOS Rと何も変わっていないので、元記事をそのまま添付しておきます。

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次なる問題は、EOS Rシリーズに新たに搭載されたFvモード(フレキシブルAE)です。

Fvモードとは、すべてをオートにしたPモード(プログラムAE)の状態から、シャッタースピード、絞り、露出補正、ISO感度を、自由に設定できるモードです。


Fvモードの説明図

ですので本モードの使い方としては、撮影開始時、或い撮影は環境が大きく変わったに、▲ボタン(全て設定をAUTOにリセット)を押して、シャッタースピード、絞り、ISO感度をキヤノンがベストと考える露出に設定します。

その上で、自分が変えたい項目だけを自由に変更する事によって、Tvモードや、Avモードの様に使えるという訳です。

ですので、事前にどの露出モードで撮るか決めないで、取り敢えずオートで露出を設定し、特定の値だけを調整する様なズボラな写真家にとっては、正に理想的な撮影モードと言えるかもしれません。

実際、現物を見る事は殆ど無いと思いますが、操作の複雑な電子測定器においては、未知の信号を自動で表示させるAUTOボタンが付いている事を考えると非常に妥当なモードと言えます。


AUTO SETボタン(赤丸)のあるスペクトラムアナライザ

ですが、いざじっくり使おうとすると色々問題が発生します。

設定値を一気に固定できないMモード相当

Mモード相当とは、Fvモードにおいてシャッタースピードと絞り、ISO感度の3点を任意の値に固定する事です。

そうすれば、少なくともカメラ側起因で露出がコロコロ変動する事はないので、スタジオ撮影等では重宝します。

ところが、Fvモードにおいてその3点を固定するためには、果てしなく手間が掛かるのです。

具体的には、以下の5ステップ(全7工程)を行う必要があるのです。

①▲ボタン(全ての設定をAUTOリセット)を押して、シャッタースピード、絞り、ISO感度をAUTOに設定する。

②設定値を固定するために、サブ電子ダイヤルを回してシャッタースピードを選択する。

③表示されたシャッタースピードの値を固定する(AUTOを解除する)ために、メイン電子ダイヤルを回して一度数値を上げて、また下げる(元に戻す)。

④それが終わったら、絞りに関して②から③を行う。

⑤最後にISO感度でに関しても、②から③を行う。

こんなに手間が掛かると知ったら、Mモード相当を使う気力は殆ど失(う)せたのではないでしょうか。

EOS Rには、前記した▲ボタン(全ての設定をAUTOリセット)以外にも、◀ボタン(選択した項目だけをAUTOにリセット)があるのですが、全ての設定を固定するボタンが無いのです。

これは早急に追加すべきでしょう。


露出メータが動かないMモード相当

このFvモードにおけるMモード相当には、もう一つの問題があります。

もしFvモードでMモード相当(シャッタースピード、絞り、ISO感度を任意の値に固定)にしても、露出メータが働かないのです。

当然ながら、本来のMモードでしたら露出メータが働いてくれます。

これを知ったら、Mモード相当は使う気力は完全に失せるでしょう。


その他

これ以外にも、Pモード相当のときプログラムシフトが使えない、Avモード相当及びPモード相当のときスローシンクロが働かないと、このFvモードは完成度が低すぎます。

早急に改善すべきです。


22. 露出シミュレーションの罠


露出シミュレーションも何も変わっていないので、元記事をそのまま添付しておきます。

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続いては露出シミュレーションです。

露出シミュレーションとは、実際の撮影結果(露出)に近い画像をファインダーに表示してくれる機能です。

これがミラーレス一眼の優位性の一つなのですが、不満が無い訳ではありません。

それは、ストロボを使用する場合です。

ストロボ発光に伴って、例えば背景を暗く設定しても、ストロボのスイッチをONすると、たちまちファインダーが明るく表示されるのです。

一瞬背景が明るくなったのか、はたまた設定が変わってしまったのかとドキッとするのですが、どうやらストロボ発光に伴って、露出シミュレーションが解除される模様です。

これは人によって好みが分かれる所かもしれませんが、本書としては常時露出シミュレーションのままにしておいてほしいものです。


23. 縦位置表示に対応しない背面モニター


背面モニターの表示も何も変わっていないので、元記事をそのまま添付しておきます。

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今どきどんなミラーレス一眼でも、横位置でも縦位置撮影でも、ファインダー内の表示が見易い様に切り替わるのは普通の事だと思います。


EOS Rのファインダー表示は横位置と縦位置で切り替わる

当然ながらEOS Rも上の図の様に切り替わるのですが、切り替わるのはファインダーにおいてのみで、背面モニターの表示は縦位置にしても変わらないのです。

これも少々ビックリではないでしょうか?

よもやモニター側が縦位置表示に対応していないとは思っていなかったので、当初は壊れたのかと思ったくらいです。

これぐらいファーム変更で、早急に修正してほしいものです。

ついでに言うと、ファインダーと背面モニターは同じグラフィックメモリーを呼び出しているのかと思ったのですが、少なくとEOS Rは2枚分のグラフィックメモリーを搭載している様です。

もしそうならば、かなり勿体無い話です。


24. Pモードで機能しない
ISOオート時のシャッタースピード低速限界


これも何も変わっていないので、元記事をそのまま添付しておきます。

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これはバグなのでしょうか?

それとも、こちらの使い方が何か間違っているのでしょうか?

EOS Rには、他社機と同様にISOオート時のシャッタースピードの低速限界が設定できます。

これはPモード及びAvモードにおいて、ISOオートが設定されている場合、シャッタースピードが遅くなるとISO感度を上げて、一定以上シャッタースピードが遅くなるのを防ぐ機能です。


キヤノンEOS Rの公式HPの抜粋

これがAvモードだと正常に働くのですが、Pモードで絞りを変えてもISO感度が全く変化しないのです。

言葉だけだと分かり難いと思いますので、実際に設定を変えた場合を表にしてみました。

露出モード Pモード Avモード
# 絞り SS ISO 絞り SS ISO
1 F4 1/80 320 F4 1/80 320
2 F5.6 1/40 320 F5.6 1/80 640
3 F8.0 1/20 320 F8.0 1/80 1250
4 F11 1/10 320 F11 1/50 1600
5 F16 1/5 320 F16 1/25 1600

上の表の様にAvモードですと、絞りを変えてシャッタースピードが低速限界を超え様とすると、ISO感度を上げてくれるのですが、PモードではISO感度は変わりません。

バグの可能性が高い様に思うのですが、どうなんでしょう?

もしそうだとしたら、キヤノンのQA部門は何をやっていたのでしょう。

と思ってキヤノンに確認したら、プログラムシフトにおいてはISOオート時のシャッタースピード低速限界は解除されてしまうのだそうです。

絶句です。


25. 直ぐに表示されない撮影画像


本件は改善されました。

従来(EOS R)は、シャッターボタンを押した直後に、撮った画像が表示されるまでイライラをするほど時間が掛かったのですが、両機においては大幅に短縮されました。

これは対策済みにして良いでしょう。


26. 自己否定の評価測光


これも何も変わっていないので、元記事をそのまま添付しておきます。

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このAEロックの設定が初期設定になっている理由は、何なのでしょう?


ワンショットAF後にAEロックする測光モードは評価測光がデフォルト

上の設定メニューにあります様に、EOS Rは合焦後にAEロックする測光モードを選べる様になっているのですが、初期設定は評価測光のみが選択されています。

上の設定の場合、シャッターボタンを半押しすると、合焦後評価測光の時はAEロックされ、その他の中央重点平均測光や部分測光ではAEロックされません。

それが何か問題なのか、と思われる方がいらっしゃるかもしれないので、少し解説させて頂きます。


AEロック機能ができた理由

その昔(1970年代)、当時マニュアル露出が一般的だった一眼レフにもAE(自動露出)化の波が押し寄せてきます。


1973年に発売されたキヤノン初の本格的なAE一眼レフCanon EF

このAE化に伴って、明るさが変わる度に、撮影者が絞りとシャッタースピードをカチカチと調整する作業が大幅に減りました。

ですが一つ問題があって、例えば人物を逆光で撮影する様な場合、中央部重点測光や部分測光で好みの構図のままシャッターボタンを押すと、(露出計が周囲の明るさの影響を受けて)露出がアンダーになるという傾向がありました。

これがもし従来のマニュアル露出の一眼レフであれば、撮影者が絞りやシャッタースピードを個々に調整して補正できたのですが、自動露出の場合はそう簡単にはいきません。

そこで考えられたのがAEロックです。

これによって、例えば前述の逆光で人物を撮影する場合でしたら、適正露出と思われる方向(人物と同じ明るさの方向)に一旦カメラを向けてAEロックを働かせ、その後構図を決めて撮れば適正露出になるという訳です。


評価測光が考えれた理由

ただしこの場合、AEロックしてカメラを振るという余計な手間が増えるので、もっと便利にしようと考えられたのが1980年代に出現した評価測光(分割測光或いはマルチパタン測光)です。


1983年に発売された評価測光を搭載したNikon FA

この評価測光においては、カメラが逆光かどうかを自動的に判断し、もし逆光と判断したら自動的に補正を掛けてくれる優れものです。

これによって、撮影者はAEロックなどする事なく、好みの構図のままシャッターボタンを押すだけで適正露出を得る事ができるという訳です。


では何が問題なのか?

ついつい昔話に花が咲いてしまいましたが、何が言いたいか分かって頂けますでしょうか?

すなわち評価測光とは、AEロックをしないで済む様にするために開発されたのです。

にも関わらず、デフォルトの設定で合焦後AEロックするのは評価測光で、本来AEロックを必要とする中央部重点平均測光や部分測光は外されているのです。

これは誰がどうみてもオカシイでしょう。

という事は、キヤノンは自社の評価測光はAEロックを必要とする未完成なものだと言って、自己否定しているのも同然なのです。

とは言え、これが単にデフォルトの設定ミスなら多少許せる所もあります。

ところが唖然とすることに、何と操作説明書にまで、カメラが初期状態(デフォルト状態)のとき評価測光はAEロックされるとまで、しっかり明記されているのです。


間違ったデフォルト設定を肯定する操作説明書の記述

恐らくこの操作説明書が完成するまで、かなりの関係者が内容をチェックしたのでしょうが、誰も気が付かなかったのでしょうか?

書いているうちに、少々悲しくなります。

いずれにしろ、さすがにこれはデフォルトの設定ミスだと思われますので、EOS R(及びEOS Ra とEOS RP)のユーザーは早急に設定を変える事を強くお勧めします。

その方が間違いなく、撮った写真の歩留まりは良くなります。


27. 使い難いマニュアルフォーカス


これも何も変わっていないので、元記事をそのまま添付しておきます。

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またマニュアルフォーカスも使い辛いの一言です。

丁度手元にフジフィルムのX-T1があるので、それと比べてみましょう。

AF後のMF

当然ながらEOS Rにも、ワンショットAF後にマニュアルフォーカスが可能なフルタイムマニュアルフォーカスの機能が備わっています。

その際、ピント合わせを正確にするために、他社機と同様に自動的にファインダーの一部を拡大する機能も備わっています。


EOS RのAF後のMF設定画面

ですので、シャッターボタンを半押ししたままピントリングを回せば、自動的に画像の一部が拡大されてマニュアルでの正確なピント調整が可能になります。

ところが、その拡大された画像を元の大きさに戻す事ができないのです。

何方も分かって頂けるともうのですが、シャッターを切る前は、どう考えても全体の構図を見てから切りたいものです。

にも関わらず、それができないのです。

唯一画像の大きさを元に戻すには、シャッターボタンから指を離すしかありません。

するとどうなるかと言えば、シャッターボタンを押した瞬間にまたAFが働いて、それまでマニュアルフォーカスで合わせたピントがご破算になってしまうのです。

こんなの許せますでしょうか。

ではフジフィルムのX-T1はどうなるかと言えば、シャッターボタンを半押ししたままフォーカスアシストと呼ばれるボタンを押せば、立ちどころに元の大きさの画像に戻るのです。

それで全体の構図を確認して、シャッターボタンを深く押せば、ピントもしっかり合わせて、更に構図も確認して写真が撮れます。

EOS Rの場合も、INFOボタンを押せば拡大倍率を5倍と10倍に変えられるのに、なぜ1倍にする機能を入れなかったのでしょう。

考えたら眠れなくなりそうな謎です。

なおEOS RのAF後のMFを唯一使いこなす方法は、シャッターボタンのAF動作を解除して、AFボタンだけでAFを駆動させれば良いのですが、面倒なので止めました。


MF中のAF

MF中のAFとは、MF中でもAFボタンを押して一度AFでピントを合わせ、その後マニュアルフォーカスでじっくりピントを合わせる方法です。

X-T1ならできます。

EOS Rはできません。

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更に今回新たに気が付いた事があるので、それら(③以降)を含めて問題点を箇条書きにしておきます。

①レンズの手動フォーカスを”ワンショット後・可能(拡大)に設定すると、ピントリングを回して一度画像を拡大すると等倍に戻す事ができない。

②MF中、AFボタンを押す事でAFを駆動させる事ができない。

③”顔+追尾優先AF”にすると、”ワンショット後・可能(拡大)”に設定していても、シャッターボタンを半押ししながらピントリングを回しても画像が拡大されない。

おまけにこの事は、説明書にも記載されていない。

④”レンズの電子式手動フォーカス”のメニューの中に、以下の様に”ワンショット後・不可”と”AF時全て不可”の二通りが存在するが、よくよく考えると何がどう違うのか分からない。

名称 説明書の記載内容
ワンショット後・不可 AF動作を行ったあとの、手動ピント調整を禁止します。
AF時全て不可 レンズのフォーカスモードスイッチが<AF>に設定されているときは、手動ピント調整を禁止します。


まとめ


上記をまとめると以下の様になります。

内容 対策
1. またもや左肩の電源スイッチ
2.レンズの根元にないコントロールリング
3. 意味の無いズームリングロックレバー
4. 外し難いレンズフード
5. 消えたマルチファンクションバー 済み
6. 本領発揮のモードダイヤル 済み
7. やっぱり使い難いバリアングルモニター
8. 引き出しても消えるモニター表示 不十分
9. 暗いと全く見えないファインダー
10. 相変わらず使えないエコモード.
11. 意味不明の測光タイマー
12. 意味不明のLOCK.ボタン
13. 表示されない被写界深度
14. 明るいと見えないモニターとファインダー
15. 是非ほしい絞りブラケットとフォーカスブラケット
16. 敏感過ぎる水準器 不十分
17. 顔認識AFだと表示されない水準器 済み
18. 前画像が見れない撮影画像
19. 縦線しか検知できないAF
20. 無駄でチグハグなM-FnボタンとQボタン
21. 詰めの甘いFvモード
22. 露出シミュレーションの罠
23. 縦位置表示に対応しない背面モニター
24. Pモードで機能しない ISOオート時のシャッタースピード低速限界
25. 直ぐに表示されない撮影画像 済み
26. 自己否定の評価測光
27. 使い難いマニュアルフォーカス

残念ながら未対策のオンパレードですが、次機種はどうなるでしょうか。



EOS Rの欠点はどこまで解消されたのか(その3)




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