α7 IIIから買い替えるべきか?
EOS RPの実力

2019/2/8: 発行
随時更新

はじめに


びっくりする情報が飛び込んできました。

キヤノンから廉価版のフルサイズミラーレス、EOS RPがリリースされるそうです。

 
海外でリークされたEOS RPの写真

特徴は小型軽量で、2600万画素、価格は何と10万円台との事です。

おまけに新たなRFレンズ群も、同時にリリースするというではありませんか。

となると、新規購入のみならず、思わず買い替えの誘惑に駆られる方も多いのではないでしょうか。

特にフルサイズミラーレス一眼が一択の選択肢しかなかった時代に、ソニーのα7シリーズを購入した方は、真剣に悩むかもしれません。

という訳で、本機はソニーのα7 IIIを超えられるのかについて、調べてみたいと思います。


仕様


現在判明しているEOS RPの仕様は以下の通りです。

• 26.2 Million Pixels Full Size Sensor
• Dual pixel CMOS AF
• DIGIC 8
• 5 fps
• ISO sensitivity: 100 to 40000 (equivalent to extended ISO: 50, 51200, 102400)
• Organic EL EVF
• 3″ type touch panel variable angle liquid crystal
• Dual Sensing IS
• DLO in camera, RAW development in camera, C-RAW compatible
• Size: 132.5 x 85.0 x 70.0 mm
• Weight: Approximately 440 g (body only), about 485 g (including batteries?)
• Kit lens: RF 24 – 105mm F/4L IS USM

本情報と共に、画像もリークされていますので、恐らく海外の広告代理店経由で情報が漏れたのでしょう。

それはともかく、EOSファンの方でしたら、この仕様を見てハタと気が付かれた事はないでしょうか?


EOS 6D Mark II


そうなのです。

この基本仕様の部分は、キヤノンのフルサイズ一眼レフである現行のEOS 6D Mark IIとそっくりなのです。


2017/8に発売されたEOS 6D Mark II

具体的には、画素数、ISO感度、デュアルピクセルCMOS AF搭載、タッチパネル式バリアングル液晶モニター採用は、EOS 6D Mark IIと全く同じです。

数年前、キヤノン初のミラーレス一眼は初代EOS 6Dの後継機として発売されるという噂があり、従来路線のEOS 6D Mark IIが発売されてがっかりした記憶があります。

ですが、その噂の後継機とはまさに本機の事で、EOS 6D Mark IIと並行して検討開発が進められていたのかもしれません。

ただし、EOS 6D Mark IIの映像エンジンはDIGIC7だったのに対して、当然ながらEOS RPはDIGIC8に更新されています。

恐らくミラーレス化に伴う対策ファームが、タップリ入っているのでしょう。

という訳で、誰がどう考えてもEOS RPはEOS 6D Mark IIの後継機で、使われる撮像素子はEOS 6D Mark IIと同等で、表面のマイクロレンズを変えたマイナーチェンジ版だと推測できます。


コスト


もしそうだとしますと、EOS RPの主要部品の大半はEOS 6D Mark IIの流用で済みますので、開発費削減と増産効果から、かなりのコストダウンが期待できます。

おまけにミラーレス一眼のEOS RPは、光学ファインダーもミラーボックスもAFユニットも不要ですので(その代わりに電子ファインダーが必要ですが)、EOS 6D Mark IIより相当安く造れるのは間違いありません。

  
ミラーレス一眼は、光学ファインダーとミラーボックス、AFユニットが不要になる

となると、噂通りの価格破壊マシンになる可能性は十分あります。

 
EOS 6D Mark II    EOS Kiss M 

希望的観測ですが、もしEOS RPがEOS 6D Mark IIの現在の市場価格と同じ15万円前後で売り出されたとしたら、キヤノネット、AE-1、EOS Kissデジタル以来の大ヒット商品になるかもしれません


世界的に大ヒットしたキヤノンAE-1

実際この下のAPS-Cサイズのミラーレス一眼である、EOS Kiss Mの市場価格が6万円台ですので、その可能性は十分あります。

となると、初めてフルサイズ機を購入する新規顧客と共に、一度はソニーのミラーレス機に流れたユーザーを引き戻せるかもしれません。


α7 IIIと比べてみる


そんな訳で、直接のライバルとなるソニーのα7 IIIと個々の仕様を比べてみたいと思います。

項目\機種 α7 III EOS RP
画素数 2400万画素 2600万画素
ローパスフィルター 水平方向のみ 有り
ISO感度 100-51.2k 100-40k
AF 像面位相差
+ コントラスト方式
デュアルピクセル
CMOS AF
瞳AF 動体追随 動体追随
シャッター速度 1/8000秒 1/4000秒
ボディー内手ブレ補正 X
ファインダー 0.78倍 236万ドット 0.70倍 236万ドット
モニター可変 上下チルト バリアングル
モニター 3型
92万ドット
3.0型
104万ドット
連写速度 10コマ/秒 5コマ/秒
4K動画 全画素読み込み クロップ
Wi-Fi
NTF
Bluetooth X
防塵防滴 配慮した設計 対応
メモリースロット 2基 1基
サイズ 127 x 96 x 74 mm 133 x 85 x 70 mm
質量 650 g 485 g
仕様比較(一部推測値を含む)

上の表をご覧頂きます様に、全体を見渡すと一見α7 IIIの方が優れている様にも見えます。

ですが最大常用ISO感度については、両者の差は1/4段程度で実質的な差は殆どありませんし、画素数の差を考えれば、むしろキヤノンが健闘していると言えるかもしれません。

また最高シャッタースピードは、(上位機種との差別化を止めて)もしかしたらEOS RPも1/8000になるかもしれません。(残念ながら1/4000秒でした)

もしそうなると、ボディー内手ブレ補正と4K動画の全画素読み込み、それに連写速度とデュアルスロットにこだわるのでなければ、EOS RPも十分魅力的です。

特に撮像素子の全面を像面位相差AFセンサーとして使えるデュアルピクセルCMOS AFは、撮像素子に数万個のAFセンサーを埋め込んだ単なる像面位相差AFと段違いのAF精度を誇りますので、大口径レンズを開放で使うユーザーはこれだけでも選ぶ価値は十分あります。


デュアルピクセルCMOS AF(左)と一般的な像面位相差AF(右)

またボディー内手ブレ補正についても、動画を撮るのでなければ、レンズ内手ブレ補正の方が明らかに有利と言えます。(詳細はこちら

まとめると、スチール撮影がメインであればEOS RPで十分、動画にこだわるのであればα7 IIIといった感じです。

ついでにお伝えすると、誤解している方も多いのですが、たとえデュアルスロットにしても信頼度は2倍になるだけで、メモリー不良を完全に防げる訳ではありません。(詳細はこちら

だったら一桁信頼性の高いメモリーを使えば、信頼度は10倍に跳ね上がりますので、この方がよほど賢明です。


RFレンズ


スチール撮影がメインであればEOS RPで十分とは言いながらも、使えるレンズが少なければ意味がありません。

EOS RPの場合、EFレンズを使うためのコンバーターが用意されているとは言え、本機の能力を100%発揮するためには、どうしても専用のRFマウントのレンズが必要です。

ただし今の所、以下の4本のレンズしかありません。

     
RF24-105mm F4  RF28-70mm F2   RF35mm F1.8   RF50mm F1.2  

ところが、お伝えしておりました様にここで新たに5本のレンズがリリースされるそうです。


現在60本近くもあるEFレンズと比べれば確かに見劣りしますが、これだけでも(かなり高価ですが)一般的な撮影なら十分賄(まかな)えます。

もっと言わせて頂ければ、取り敢えず発売済みのRF24-105mm F4 L ISが1本あれば、当座は何とか凌げそうです。


RF24-105mm F4 L ISを装着したEOS RとEOS RP


Eマウントレンズとの比較


という訳で、試しにこのRFレンズ(RF24-105mm F4 L IS)を、ソニーのFE 24-105mm F4 G OSSレンズと比べてみたいと思います。


α7R IIIとFE 24-105mm F4 G OSS

先ず値段につきましては、以下の広告にあります様に、SONY製が14万円でキヤノン製が13万円とほぼ互角です。

 

仕様を比べてみると以下の通りです。

項目\レンズ ソニー
FE 24-105mm F4 G OSS
キヤノン
RF24-105mm F4 L IS
フィルター径 77 mm 77 mm
最短撮影距離 0.38m 0.45m
手ブレ補正(効果) 〇(不明) 〇(5段分)
防塵・防滴 防塵・防滴に配慮した設計 防塵・防滴
サイズ φ83 x 113 mm φ84×107 mm
質量 663g 700g

上の表をご覧頂きます様に、ソニーの最短撮影距離が0.38mというのは立派です。

またいずれも手ブレ補正を搭載しているものの、キヤノンは5段分と宣言している分だけ性能が上なのは間違いありません。

防塵防滴についても、ソニーは”配慮した設計”となっており、雨の中に持ち出すのはためらいます。

なお、EOS RPが防塵防水仕様になるかどうかは、現時点では不明ですが、金属ボディーのリーク画像が出回っている事から考えると、EOS Rと同様に本機も防塵防滴仕様になると予想されます。(防塵防滴仕様でした)


EOS RPのリーク画像

そしてサイズについては、キヤノン製の方が37g重いももの、全長はキヤノンの方が5mm短くなっています。

それでは最後に、MTFを見ておきましょう。


ソニーFE 24-105mm F4 G OSSのMTF


キヤノンRF24-105mm F4 L ISのMTF

これを同じチャートに載せると以下の様になり、絞り開放時のMTFについては、(予想に反して)概ねソニーの方が優れているという結果になります。




という訳で、ことこのレンズに関して言えば、大きさ(全長)と手ブレ補正効果、防塵防滴に関してはキヤノンが上で、重さと最短撮影距離、それにMTFに関してはソニーの方が上という事になります。


ここまでのまとめ


それではまとめです。

先ず値段と重さに関しては、EOS RPの方が明らかに優れています。

ただし、動画もソコソコ撮影される方でしたら、4K全画素読み込みでボディー内手ブレ補正を搭載しているα7 IIIの方が明らかに有利です。

一方、静止画がメインで、AFの精度を重要視される方でしたら、EOS RPが断然優れていると言えます。

さてどちらにしましょうか?


色見


と悩んでいる方に、これからが本題です。

当然と言えば当然ですが、各カメラメーカーによって撮った写真の色見は微妙に異なります。

特に人の肌色は、その違いが顕著に表れます。

RAWファイルを現像したり、Photoshopを使えば自分好みに調整できるものの、初めからそれに近い方が限りなく便利です。

実際、数枚の写真の色見調整ならむしろ楽しいのですが、それが数百枚となると泣きたくなります。

また撮って出しの写真が綺麗ならば、PCの無い撮影現場であってもクライアントもモデルも盛り上がります。

では、キヤノンとソニーのどちらが、より貴方の好みに近いでしょうか?

下の2枚の写真は、両社の公式HPから引用した撮影サンプルですので、撮影後に一切手を加えていない撮ったままのJPEG画像なのは間違いありません。(ちなみにプロやユーザーが撮ったとするサンプル写真は、撮影後にタップリ手を加えられていると思って間違いありません)


キヤノンのRF50mm F1.2 L USMの撮影サンプル


ソニーのFE 24-105mm F4 G OSSの撮影サンプル

さて、貴方なら上の2枚の写真のどちらを選ばれますでしょうか?

異なるレンズなのでボケ等は無視して頂いて、肌色はどちらがお好みでしょうか?

恐らく大多数の方は、キヤノンを選択される事でしょう。

光の条件もカメラの設定も全く異なるので、この2枚の写真だけで判断するのはフェアではないと言われるかもしれませんが、ソニーの公式HPにこの様な色カブリしたも同然の人物写真が載っているのは紛れもない事実です。

実際、初代のα7Sから、α7R II、α99 II、α7 IIIを使い続けた身からすれば、上の写真に見られるくすんだ肌色は紛れもなくSONY機の肌色です。

これは、いくらカメラの設定を変えても、どうしても直せません。

この辺の事はソニーも十分認識している様で、α7R III 以降多少肌色を改善した様ですが、依然キヤノンの方が一枚も二枚も上手なのは間違いありません。


α7R IIIのプレスリリースに書かれた、さりげない一行

なお、これは単にWB(ホワイトバランス)を含む画像処理だけの問題ではなく、(キヤノンの主張の通り)やはり単板撮像素子を搭載したデジカメにはローパスフィルターは必須なのかもしれません。

ついでにお伝えしますと、(これも画像処理で補正できるとは言え)レンズの色見の差も少なから
ず存在する様な気がします。


F1.2の大口径レンズはSONYには無い


またキヤノンのフランジ径はソニーより8mm(φ54mm-φ46mm)も大きいので、もしF1.2以上の大口径レンズを使ってポートレートを撮ってみたいのなら、キヤノンのRFレンズしかありません。


キヤノンのRF50mm F1.2 L USM

実際現在の所、ソニーの大口径レンズ(50mm、85mm)は、最も明るいのはF1.4までしかないのです。


ソニーの標準レンズ(Planar T* FE 50mm F1.4 ZA)はF1.4止まり

キヤノンもニコンも、初めてのフルサイズミラーレス一眼と共にいきなり大口径レンズを発表したのは、ソニーとの差別化を相当意識した結果ではないでしょうか。


Eマウントでは決して実現できないF0.95(写真はNIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct)

また(高価過ぎて手も足も出ないのですが)、EOS Rと同時に発売されたキヤノンのRF28-70mm F2L USMは、正にポートレート用のスーパーズームレンズとも言える代物です。


ポートレートに特化したズームレンズとも言えるRF28-70mm F2L USM

と言う訳で、もし人物を綺麗に撮りたいのならば、EOS RPが断然お勧めと言えます。


ソニーの殿様商売完結


本来まとめは、記事の最後にあるべきなのですが、ご存知の様に本サイトは違います。

まとめの後にどうしてもお伝えしたい事を、平然と追加してしまいます。

デジカメの色見の話の次は、ソニーの殿様商売に関する話です。

ご存知の様にソニーは、旧モデルをまるで姉妹機の様に、価格を下げて販売を継続しています。


未だに2世代前(2013年末)のモデルが継続販売されているソニーのα7シリーズ

それは、フルサイズにしろAPS-Cサイズ一眼(ついでにコンパクトモデル)にしろ、直接競合する他社モデルが無かったからに他ありません。


2012年(7年前)のモデルが未だに継続発売される1型センサーを搭載したRX100シリーズ

ですが、これからは違います。

ようやく自社の一眼レフに見切りを付けて、ミラーレス一眼に舵を切ったキヤノンとニコンは、(老舗ブランドのプライドを捨てて)これからはSONYのミラーレス市場に徹底的に切り込んできます。

その先陣を切るのが、まさしくEOS RPなのです。

本機が発売されて以降、ソニーの古い機種は、遠からぬ内に市場から駆逐されるのは間違いないでしょう。


結論


おっと、話が横に逸れてしまいましたが、今度こそ最終結論です。

もし貴方が人物撮影優先ならば、人肌が綺麗で、F1.2の大口径レンズがあり、AF精度の高いEOS RPが断然お勧めです。

もしそれ以外の汎用性を求めるのでしたら、α7 IIIがお勧めと言えます。


本書がお役に立てば幸いです。



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