Eマウント機は今後衰退する

2020/01/29:発行


はじめに


ネットの記事を読むと、現在のカメラ業界は、トップはソニーで、それをキヤノンが追い、ニコンを含む他社が低迷中といった感じではないでしょうか。

ですが、ソニーファンの方には誠に申し訳ないのですが、これから徐々にソニーのEマウント機は衰退するかもしれない、という話をさせて頂ければと思います。


2021/1/27に発表されたソニーのフラッグシップ機、SONY α1

何も今どきそんなネガティブな話をする必要はないだろう、と思われる事でしょう。

ですがBad News First。

遅かれ早かれ知る事になるのであれば、悪いニュースは早く知っておいた方が何かとお得です。


神通力を失ったEマウントレンズ


それでは先ず、Eマウント機が廃(すた)れると思われる一つ目の理由をご紹介します。

それは、他社がフルサイズミラーレスカメラの市場に参入した途端、Eマウントレンズがそれまで持っていた大きな神通力(優位性)を失った事です。

ご存知かもしれませんが、初代α7が売り出された頃は、Eマウントレンズと言えば暗いレンズばかりで、それなりのレンズと言えばZEISSブランドしかありませんでした。


初期のEマウントレンズを牽引したZEISSレンズ
(Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS)

ところがその後、Gマスターと呼ばれる高級レンズを自社ブランドで出し始めてからは、出すレンズ出すレンズがどれも優秀で驚いたものです。

    
初のGマスターレンズであるSONY FE 85mm F1.4 GM

このためソニーの光学技術は、急速にキヤノンやニコンに追い付き、もしかしたら一部では追い抜いたのではないかとさえ思ったものです。

ところが、他社がフルサイズのミラーレス一眼に参入してから、奇妙な事に気付きました。

設計が新しいせいもあるのでしょうが、他社のレンズも以前よりどんどん光学性能が上がっているではありませんか。

中には広角系ズームのワイド端が拡がっていたり、従来より最短撮影距離が短くなっていたり、小型軽量になったりと、明らかにレンズ全体の性能が1段以上上がった印象です。


従来より小型軽量になりながら15mmスタートとなるキヤノンのRF15-35mm F2.8 L

それでようやく気付きました。

Eマウントレンズは、今まで他社より有利な条件で作られていたという事に。

と言うのは、従来フルサイズのミラーレス一眼はソニーの独擅場でしたので、フランジバックが短いというレンズ設計上の優位性を独り占めしていたのです。

すなわち、従来Eマウントレンズが優れていると思ったのは、設計上不利な一眼レフ用のレンズと比べていたからなのです。

ところが、他社が一斉にフルサイズのミラーレスカメラ市場に参入した事で、フランジバックが短いというEマウントレンズだけが密かに独り占めにしていた神通力(優位性)が一気に消え失せたという訳です。

とは言え、これで全社同じ条件になっただけですので、Eマウントレンズが衰退する理由にはなりません。

ですが少なくともソニーの光学技術が、他社を追い越していたというのは、美しい誤解であったのは間違いありません。


未だに発売されないF1.2の大口径レンズ


そして2番目の理由が、未だにソニーからF1.2の大口径レンズが発売されない事です。

下の写真でも分かります様に、Eマウントの径が他社より小さいのは良くご存知の事でしょう。


左からソニー、ニコン、キヤノンのミラーレス一眼のマウント

マウント径を比較してみると以下の様になります。


マウントサイズの比較

ソニーのEマウントが他社より小さいのは、当時世界最小のフルサイズ機を作るために、2010年に発売されたAPS-CサイズのNEXシリーズのマウントを流用したからです。


初代α7のキャッチコピー

それに対して他社は、フルサイズのミラーレスカメラ市場への参入を遅らせた分、じっくりじっくり時間を掛けてフルサイズ機にとって最適なマウント径を導き出していのです。(参入を遅らせた理由はこちら


ニコンの大口径Zマウントに関する宣伝文句

とは言え、ソニーのEマウントが他社より小さい事は、以前から取り沙汰されていた事で、なにも目新しい話ではありません。

また一時期、マウントサイズはレンズの性能においてさほど重要ではないという話もあり、幣サイトもそんなものだと思っていました。

何しろニコンのFマウントは、φ44mmのまま60年以上も第一線でやってきたのですから。

ところがここへ来て、他社が続々とF1.2クラスの大口径レンズを発売しているにも関わらず、未だにソニーからそのクラスのレンズが1本も発売されていない事から見ると、どうやらそれは間違いだった様です。

すなわち、やはりマウント径が小さいと、大口径レンズを作るのは容易ではないという事です。


Eマウント(φ46mm)とZマウント(φ55mm)の比較

或いは、仮にF1.2の大口径レンズを作れたとしても、競合他社より性能的に劣るか、或いは高くなってしまうのでしょう。

特にこれからは静止画から動画に移行していきますので、スマホとの差別化に当たってボケが益々重要視されるのは間違いありません。

そんな中、他社と同じF1.2の大口径レンズが無いのは、営業上かなり不利になるのは間違いないでしょう。

またF1.2のレンズがあるかどうかだけではなく、Eマウントは大口径には不利だと悟られてしまう事の方がより心配です。


決して追い付けないボディー内手ブレ補正


ここまででしたら、まだ我慢できるかもしれません。

ですがここに来て、マウント径の小さい事による、もう一つの問題が見えてきました。

それはボディー内手ブレ補正です。

EOS R5やR6の手ブレ補正効果8段のニュースは、かなり衝撃的でした。

特に動画撮影でこの8段は、更に価値があります。

一方先日発表されたソニーのα1は、フラッグシップ機と呼びながら手ブレ補正効果は、たったの5.5段しかありません。

この差は、このマウント径の大きさが影響しているのは間違いないでしょう。

という事は、今後ソニーがどんなに頑張っても、この先手ブレ補正でキヤノン機やマウント径の大きな他社機を超える事はできないという事になります。

それが市場に認知されてしまったら、ソニー機を選ぼうと思う気持ちはかなり薄れてしまうのではないでしょうか。


まとめ


それではまとめです。

以下の理由により、ソニーのEマウント機は今後衰退していく恐れがある。

①他社がフルサイズのミラーレス一眼市場に参入してきた事により、従来ソニーのEマウントレンズだけが享受していたフランジバックの短さの利点が消滅した。

②Eマウントの小ささ故に、F1.2クラスの大口径レンズの開発が難しい。

③さらにEマウントの小ささ故に、キヤノン機並みの手ブレ補正効果を得るのは難しい。


そんな訳で、このマウント径が小さい事による弊害が市場に徐々に伝わるに連れて、徐々にEマウント機(αシリーズ)は衰退していくのではないでしょうか。

とは言え、そんな事はソニーも百も承知でしょうから、それに対応するオプションも色々準備しているのでしょう。

いずれにしろ(この予想が当たるかどうかはともかく)、今後フルサイズ機を新たに購入しようと思っている方は、これらの事を考慮の上、慎重に検討される事をお勧めする次第です。

何しろAFシステムであれだけ先行して市場を席巻したミノルタブランドのカメラが、今は市場に存在しないのですから。




Eマウント機は今後衰退する





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