フィルターによるフレアへの影響
(日本製フィルターはフレアを抑えられるのか)

2020/02/10:発行
2020/02/14:追記

目次



1. はじめに


先日、フレアの出易い条件をご報告させて頂きましたが、その際直射日光がレンズに直接照射される様な逆光だと、フィルターによる影響度が非常に大きい事が分かりました。(詳細はこちら


フィルターによって発生した被写体足元の強いフレア

だたし前回は、安物のフィルターしか用意していなかったため、今回は日本製のやや高級な物を使って撮り比べをしてみました。


試験に使ったEOS RP + RF24-105mm F4 L IS USM

果たして、安物と高級品ではフレアの出方は異なるのでしょうか?

と思って始めたのですが、予想外の事まで起きてしまいました。

どういう結果になるか、お楽しみに。


2. K&FのUVフィルター


追加試験の初っ端は、前回の試験でも使ったK&Fのフィルター(K&F CONCEPT DIGITAL HD SLIM UV 77mm JAPAN OPTICS)です。

何故かフィルター枠に書かれている名称にはJAPAN OPTICSとありますが、見なかった事にしておきましょう。


K&FのUVフィルターを装着した逆光撮影

上の写真を見て、右上のゴーストしか発生していない様に見えますが、間違いです。

画面下部に写っている、白い霧の様な個所が全てフレアなのです。

前回はかなり明瞭にレンズ前面の姿が画像に写っていたのですが、今回は太陽の照射角度が前回より上になった(前回照射角度40度に対して今回47度)ため、レンズ正面が完全に照らされていなかったのでしょう。


前回の試験では、画像にレンズ正面の姿が写っていた

今回は下にありますレンズ正面の写真も撮っておいたのですが、これを見て頂ければ画像下部に発生したフレアが、レンズ正面の直射日光が合った個所と一致するのを分かって頂けると思います。


直射日光で照らされたレンズ前面下部が、画像の下にフレアとなって現れた

なお前回は焦点距離を変えて撮ったのですが、今回の試験は一番フレアが目立った焦点距離50mmの縦位置撮影のみに絞っています。


3. フィルター無し


次はフィルター無しです。


フィルター無しの逆光撮影

ご覧の様に、フード無しの逆光撮影でも、目立つフレアは全くありません。

ご存知の通り、キヤノンのみならず、レンズメーカーの品質保証領域はこの状態までで、フィルターを付けた後はユーザー責任になります。

ですが、フィルターを付けるユーザーのために、もう少し何らかのアドバイアスをしても良いのではないでしょうか?

フィルターを新たに購入する度に、こんな試験をユーザーがやらなければいけないというのは、どう考えても理不尽です。

高価になるので購入者は少ないかもしれませんが、OEMで構わないのでやはり自社ブランドのフィルターも提供すべきではないでしょうか。

すみません。愚痴でした。

2020/02/14:追記

と書いていたのですが、目立たないものの各社とも自社ブランドのフィルターを依然販売していました。

特にニコンにおいては、アルクレストというブランドを立ち上げて、超高級フィルターを発売しているではありませんか。

後ほど記事にしてみたいと思いますので、楽しみにしておいて頂ければと思います。


4. ZomeiのUVフィルター


続いては、再度中華フィルターの登場です。


ZomeiのUVフィルターを装着した逆光撮影

このフィルターは依然幣サイトでピンボケの様な画像不良が発生するとご紹介した、ZomeiのUVフィルター(DW1 WIDE BAND PRO UV 82mm)です。(詳細はこちら

 
安いのには訳があるZomeiのフィルター

当該記事で画像不良を指摘したのはZomeiのND4フィルターだったのですが、もしかしたらK&F製よりもっと酷(ひど)いフレアが発生するのではないと思い、同社のUVフィルターを付けてみたのですが、案の定でした。

K&Fのフィルターと同様に画像右上のゴーストと画像下のフレアが発生していますが、それと共に全体に画像が明るくなっています。

恐らくこれは何方も、露出が変わったのだろうと思われる事でしょう。

ですが、違います。

念のためにシャッター速度とISO感度を確認してみたら、前出の写真と全く変わっていないのです。

すなわち、全体的にコントラスが低下しているのは、このフィルターのせいなのです。

いくら安いからと言って、こんなフィルターが市場に存在する事が許せないと言いたい所ですが、買わない選択肢がある以上、さすがにそこまでは言えません。

ですが、これを使って逆光で撮れば、許容できないほどのフレアが出るかもしれませんと、どこかに明記しておいて欲しいものです。


5. KenkoのPRO1Dフィルター


次は我らが国産フィルターの代表格、KenkoのフィルターPRO1Dです。

フィルム時代は、紫外線を抑えるUVフィルターとか、晴天時の青味を抑えるスカイライトフィルターとか呼ばれていましたが、今はプロテクトフィルターと呼ばれるのは一般的な様です。


KenkoフィルターPRO1Dの説明文

画質に影響を与えずレンズをしっかり保護と言うのは、好感が持てます。

とは言え、所詮平らなガラスですので、多少のフレアは避けられないと思ったのですが、どうしてどうして期待以上のできです。


KenkoのフィルターPRO1Dを装着した逆光撮影

上の写真をご覧頂きます様に、見事にフレアの類(たぐい)は消えているではないですか?

さすがに先ほどのフィルター無しと画像を大きくして見比べると、コントラストが僅かながら低下しているのが分かるものの、技術に裏打ちされたコーティングの威力とは、こんなにも凄いものだったのかと、思い知らされました。

もしかしたら、フィルターを付け忘れているのではないかと、心配になる程です。

       

なお本書では一番左のKenko 77mm レンズフィルター PRO1D のアウトレット品を購入したのですが、ここまでフレアが抑えられるのでしたら、これで十分でしょう。

噂では、国内のフィルターメーカは、フィルターの全数検査を実施しているとの事です。

もしそうなら、中華製より高くなるのはやむを得ないでしょう。

ついでにシリアルナンバーも付けてくれれば、最高です。


6. K&FのCPLフィルター


以上で終わりでも良かったのですが、ついでにK&FのCPLフィルター(K&F CONCEPT DIGITAL HD SLIM CPL 77mm JAPAN OPTICS)を付けてみました。


最近何故かめっきり値段の高くなったK&FのCPLフィルター

理由は、依然偏光フィルターの比較で本フィルターを使ってみて、高い日本製と変わらないと結論付けたからです。(詳細はこちら

当然ながら偏光フィルターは順光で使うのが定石なので、逆光の試験は不要かもしれませんが、(同じK&F製なので)当然ながら逆光ではフレア満開になるだろうと言う推測を確認するためです。

すると予想外の事が起きました。(自然界恐るべし)


K&FのCPLフィルターを装着した逆光撮影

上の写真をご覧頂きます様に、CPLフィルターを付けたのに伴い画像が1.5段程度の暗くなっていますが、何と下部にあったフレアが見事に消えているではないですか。

上部のゴーストは依然発生しているものの、下部のフレアが消えた理由は何なのでしょう。

まさかUVフィルターでさえコーティングしていないのに、CPLフィルターだけコーティングしてとは到底思えません。

これについてはいつか暇なときに考える事にして、まとめに移ろうとしたその時です。

ある事が閃(ひらめ)きました。

もしかしたら、偏光が効いているのかもしれませ。


7. なぜ偏光フィルターでフレアが抑えられたのか


当初はこんな予定ではなかったのですが、1項目追加して、その閃いた事をお伝えしたいと思います。

ご存知の様に偏光フィルターとは、あらゆる方向に振動している光を一方向のみ通過させる機能を有しています。


偏光フィルターはあらゆる方向に振動している光の内、一方向の光のみ通過させる

このため不要な乱反射を抑え、空をより青くしたり、ガラスや金属面の反射を抑えてコントラストを高めてくれます。


偏光フィルターを使うとガラスや金属の乱反射を抑えられる

という事は、今回のフレアの試験において、CPLフィルターを通過してレンズ前面に当たった光は、一方向にのみ振動した光になります。

それがフィルターの裏面に反射した場合、反射角度によっては撮像素子に届かないで、カットされた可能性があるのではないでしょうか?

あくまでも後付けの理論になりますが、そう考えない限り画像下のフレアが消えた説明がつきません。

という訳で、もし機会があったら次回はCPLではなく、一般的なPLフィルター(正確にはリニアPLフィルター)を使って、フィルターの回転によってフレアが出たり消えたりするか試してみたいと思います。

これでもし偏光フィルターを使えば、逆光におけるフィルター起因のフレアを大幅に軽減できると確認できたら、世紀の大発見とは言わないまでも、風景写真を撮っている方にとって、かなりの朗報になるのではないでしょうか。


8. まとめ


全く以って予想外の展開になってしまいましたが、それでは最後にまとめです。

①逆光で中華製フィルターを使ってはいけない。

前回の試験に於いては、直射日光を完全に遮(さえぎ)ればたとえ中華製フィルターであってもフレアを防げる事が分かった。

しかしながら、一般的なフードを使う限り、直射日光を常時完全に防ぐのは不可能なので、逆光撮影においては中華製フィルターを使わない方が賢明である。

②逆光で使うには日本製のフィルター

それに対して日本製(Kenko)のフィルターは、逆光で使用してもフィルター無しとほぼ同じ画像が撮れる事から、逆光で撮影する機会が多いのであれば、多少高くてもこちらを選択するべきである。

2020/02/14:追記

ちなみに下は、今回の試験で使った3枚のフィルターです。


左からZomei、F&F、Kenkoのフィルター

これを黒いシートに乗せて、さらに屋外の曇り空を反射させて撮ったのがこの画像です。

これをご覧頂きます様に、左2枚の中国製はしっかり曇空が映って明るくなっているのに対して、一番右側のKenkoのフィルターは反射が少なく下の黒いシートが確認できる程です。

レンズに装着しなくても、フレアの出方はこれだけで判断できます。


③偏光フィルターでもフレアを抑えられる

今回の試験において、中華製のCPLであっても、逆光時のフレアを抑えられる事が分かったので、今後機会があればこれが偏光による効果なのかどうか確認する必要がある。

いずれにしろ、フィルターは日本製にした方が間違いない様です。

もっと言えば、できればフィルターは外すべきと言いたい所ですが、なかなかそれも厳しいのが現実です。

本書がお役に立てば、幸いです。




フィルターによるフレアへの影響(日本製フィルターはフレアを抑えられるのか)





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