Nikon D6のスペック予測

2019/9:発行


はじめに


2019/9/5、噂されていたニコンの旗艦Nikon D6の開発発表が行なわれ、外観写真がめでたくお披露目されました。

 
開発発表された6代目Nikon D6(隣の広告はNikon D5です)

ただし当然ながら、細かいスペックや値段、発売日等は一切不明です。

とは言いながら、6代目に至るNikon D1桁シリーズの系譜や、現在のデジカメのトレンド、更には他社機の動向を見れば、凡(おおよ)そのスペックは推測できます。

という訳で、一刻でも早くNikon D6の全貌を知りたいほんの一握りのカメラファンのために、いつもながら本サイト独自の全く当たらないNikon D6のスペック予想をしてみました。

もしお暇でしたら、最後まで覗いてみて頂ければ幸甚です。


2400万画素の裏面照射型撮像素子(信頼度98%)


それでは早速外観からチェックしていきましょう、と言いたい所ですが、その前にデジカメの基本中の基本であるD6の撮像素子から推測していきたいと思います。

これについては、ほぼ間違いないでしょう。

D6に採用される撮像素子は、Nikon Z6に搭載されているのと同じソニー製の2400万画素裏面照射型撮像素子です。


2400万画素の撮像素子を搭載したNikon Z6


Nikon Z6に搭載されている2400万画素の裏面照射型撮像素子

ニコンのフラッグシップ機がミラーレス一眼の標準モデルであるZ 6と同じと聞いてガッカリされる向きもあるかもしれませんが、この撮像素子はソニーのフラッグシップとも言えるα9と標準モデルのα7IIIにも使用されていますので同じ関係と言えます。


α9とα7 IIIは同じ2400万画素の裏面照射型撮像素子を搭載している

  

ではなぜこれが採用されるかと言えば、4つの理由があります。

先ず1点目が、先代のD5が2000万画素だった事を考えれば、後継機が2400万画素というのは極めて妥当な画素数のアップ量だからです。

そして2点目がこれからご紹介するISO感度で、3点目が連写性能、4点目がAF性能に関係します。


常用ISO感度204,800(信頼度50%)


ニコンはISO感度のスパン(広さ)には、少なからずこだわりがあるのは間違いありません。

例えば下のチャートにあります様に、先代のD5においては最大常用ISO感度を102,400、最大増感ISO感度を3,280,000(328万)にまで上げて、フルサイズ一眼ではトップの性能を有しています。(高感度カメラのベスト10はこちらへ)


フルサイズデジカメのISO感度スパン(最大ISO感度順)

また余談ですが、高画素モデルのNikon Z 7やNikon D850においては、最小常用ISO感度を64にして、更に減感ISO感度を32にして低域側のISO感度を拡げている所は、カメラマニアの心をくすぐります。

 
常用ISO感度64~25,600と低域側のISO感度を拡げているNikon D850

となるとD6においては、(画素数を2400万に増やしたものの)従来より受光面積が広くできる裏面照射型撮像素子の利点を生かして、最大常用ISO感度をD5より更に1段(2倍)高い204,800まで引き上げてくるかもしれません。

とは言え、同じ撮像素子を搭載しているZ 6の最大常用ISO感度が51,200ですので、それから更に2段(4倍)も高くするのは無理だろうと思われる方もいらっしゃる事でしょう。

ですが一眼レフの場合、シャッターを押した瞬間しか撮像素子に電流は流れないため、ミラーレス一眼と比べて電力消費や昇温を大幅に抑える事ができます。

更にD1桁シーズは本体が大きい分放熱性も優れ、回路基板の配置にも余裕がありますので、一般的な一眼レフより更に熱ノイズを抑えて光信号を増幅し易いのは間違いありません。

さてこの予言は当たるでしょうか?


電子シャッターで秒速20コマ以上の連写性能(信頼度90%)


さて先ほど、2400万画素の裏面照射型撮像素子を採用するのには4つの理由があると申し上げましたが、3つ目の理由がこの連写性能です。

下の表にあります様に、先代のD5の連写性能は、最速で秒速14コマ(ミラーアップ時)、AF追随で12コマでした。

機種 最高速 AF追随
α9 20コマ 20コマ
EOS-1D X Mark II 16コマ 14コマ
NIKON D5 14コマ 12コマ
EOS-1D X 14コマ 12コマ
α99 II 12コマ 12コマ
NIKON D4S 11コマ 11コマ
α7 III 10コマ 10コマ
D850 8コマ 8コマ
EOS 5D IV 7コマ 7コマ
フルサイズデジカメの連写速度

D6の直接のライバルとなるキヤノンのEOS-1D X Mark II は、最速で秒速16コマ、AF追随で14コマです。(Nikon D5とEOS-1D X Mark II の詳細についてはこちらへ)

 
D6の直接のライバルとなるEOS-1D X Mark II

となると意地でもそれを超えたくなるでしょうが、それは無いだろうというのが本書の見解です。

何故ならば、先ほどの表にあります様にミラーレス一眼のα9は電子シャッターを使って、無音でブラックアウトフリーの秒速20コマを達成しているからです。


メモリーを積載して高速読み出しを可能にしたα9の撮像素子

ですので、当然ながらD6においても、撮像素子の高速読み出しと電子シャッターを採用して、ソニーのα 9を凌ぐライブビュー撮影において秒速20枚以上を達成するのは間違いないでしょう。


メカシャッターで秒速14コマの連写性能(信頼度80%)


電子シャッターで秒速20コマ以上を達成するとなれば、更に開発コストを掛かけてまでメカシャッターにおける連写速度を向上させようとは、ニコンのR&Dメンバーも思わないのではないでしょうか。


Nikon D5のシャッターユニット

実際D5の秒速14コマは、ミラーアップした(ファインダーで画像が見れない)場合の連写速度なのですから、モニターで画像が見れて尚且つ秒速20コマなら、誰が文句を言えるでしょう。


Nikon D5のシャッターユニット

確かにD6のユーザーの大半は、D1桁シリーズを使い続けた百戦錬磨のプロ達ですので、ファインダーを使った高速連写にこだわるでしょうが、誰しも時代の流れに抗(あら)がう事はできません。

またライブビューによる手持ちの高速連写撮影はかなりしんどいと思うものの、カメラを三脚に載せている場合でしたら、間違いなくファインダーを覗くよりライブビュー撮影の方が楽です。

という訳で、メカシャッターの連写速度はD5と同じ秒速14コマとしたいと思います。


チルト式背面モニター採用(信頼度100%)


背面モニターについても、もう決まりでしょう。

先代のD5を含めて、従来のD1桁シリーズの背面モニターは固定式でした。


D5の背面モニターはタッチパネル採用の3.2型236万ドットながら固定式だった

ですが、D6は間違いなくチルト式のモニターになります。

恐らく3軸ヒンジ構造も含めてD850のモニターを流用するのは間違いありません。


D850の背面モニター

これでライブビュー撮影が、かなりやり易くなります。


GPS搭載(信頼度100%)


お待たせしました。

それではいよいよD6の外観を、D5とじっくり比べて見てみましょう。


先代のD5との違いは一目瞭然で、ペンタプリズム部がずいぶん高くなり、正面から見て右肩のセレクター部もかなり厚くなっています。

これに伴って、全体的に一回り大きくなった様に見えてしまうのが不思議です。

それはともかく、ペンタプリズム部が高くなったのは、ご推察通り新たにGPSが搭載されたのに間違いないでしょう。

造形は異なりますが、ペンタプリズム部の高さは既にGPSが搭載されているEOS-1D X Mark II と似た様な雰囲気になりました。

 
ペンタプリズム上部にGPSが搭載されているEOS-1D X Mark II

どんな製品でも、ある程度完成度が高くなると、形状は似てきてしまうものなのでしょうか。

そう考えると、もしかしたら右肩のセレクター部を厚くしたのは、操作性をアップするためというより、むしろ遠くから見てEOS-1D X Mark II と識別できる様にするためとさえ思ってしまいます。

話は戻って、それ以外にD5とD6の外観上の差を探しても、殆ど見当たらない所が少し寂しい所です。


ファインダービューのAF性能は現状維持(信頼度75%)


続いてはAF性能です。

残念ながらと言えば良いのでしょうか?

AF性能は、基本的に現行のD5と同性能というのが本書の推測です。

すなわちD6のAF性能は、D5のみならず、それを流用したD850やD500と同じという事です。

 
D5のAFセンサーはDXフォーマットのNikon D500にも採用されている

その理由ですが、ご存知の通りミラーレス一眼の台頭があります。

この先いつまで一眼レフを続けるかどうかは、当然ニコンとしてもまだ決定していないでしょうが、今後ミラーレス機に開発リソースを振り分ける必要がある以上、ここで新たなAF機構を開発するのは得策ではありません。

とは言いながらも、現段階においてD5のAF性能が最新のミラーレス一眼より劣っているとは、全く思ってはいません。

むしろまだ、数あるミラーレス一眼より、一眼レフの最高峰であるD5の方が優れていると思っている程です。

確かにD5の位相差センサーは153点で、下の表にある様にミラーレス一眼のα9の693点からするとかなり見劣りします。

機種 位相差AF
(クロスセンサー)
像面位相差AF
(コントラストAF)
瞳AF 最低輝度
NIKON D5 153点
(99点)
-4EV
EOS-1D X Mark II 61点
(41点)
-3EV
α9 693点
(425点)
-3EV

ところが、下の図にあります様にD5の153点内99点は、クロスセンサー(縦線と横線の両方を検知できるセンサー)になっているのです。


Nikon D5の測距ポイント

ご存知ないかもしれませんが、フルサーズミラーレス一眼でクロスセンサーを採用している機種は1機種もないのです。

ですので、フルサーズミラーレス一眼の場合、横線主体の被写体には(カメラを傾けない限り)永遠にピントは合わないのです。

更に、理論的にはラインセンサーよりクロスセンサーの方が2倍AF精度が良い事になりますので、ミラーレス一眼より一眼レフの方がAFの喰い付きが良いと感じるのも頷(うなず)けます。

その証拠に、ミラーレス一眼は像面位相差AFだけでは精度が出ないために、止む無くコントラスAFを併用したハイブリッドAFを採用しているのです。


コントラスAFを併用しているα 9のハイブリッドAF

一方直接のライバルであるEOS-1D X Mark II でも、位相差センサーは61点でクロスセンサーは41点しかないのです。(ただし中央の5点は更にデュアルクロスを採用)


EOS-1D X Mark IIのAFセンサー配置

またD5の最低AF輝度は、中央フォーカスポイントで-4EV、その他のフォーカスポイント全てで-3EVを達成しているのです。


Nikon D5の位相差センサー

更にD6においては、同じ位相差センサーであっても、制御ファームやRGBセンサーの改善で、顔認識の精度アップ等が図られるかもしれません。


Nikon D5の撮像素子とRGBセンサーの機能

という訳で、D5のファインダービューにおけるAF性能は今でも第一線にあるとの理由から、多少の改善はあるかもしれないもののファインダービューにおけるAF性能はこのままと予想させて頂きます。


ライブビューのAF性能はZ6と同等(信頼度98%)


さて、先ほどはファインダービューにおけるAF性能でしたが、次はライブビューにおけるAF性能です。

ミラーをアップするため位相差センサーが使えなくなるライブビューにおいては、当然ながら像面位相差AFセンサーによる広域多点のAFが行われるのは間違いないありません。


Nikon Z6の273点フォーカスポイント

そしてそのAFシステムは、当然瞳AFを含めてNikon Z6から流用すると断言して差し支えないでしょう。

そうすれば開発費を大幅に節約できます。

という訳で、これがZ 6と同じ撮像素子を使う4つ目の理由です。


ボディー内手振れ補正搭載(信頼度100%)


よもや今流行のボディー内手振れ補正を、D6に採用する事はないでしょう。

何故ならば(巷ではボディー内手振れ補正はまるで万能薬の様に思われていますが)、ボディー内手振れ補正だけでは、広角撮影や接写撮影、或いは夜景の手持ち撮影のときしか殆ど役に立たないからです。(手振れ補正の詳細についてはこちらへ)

ましてや一眼レフですので、手ブレが効いているかどうか、ファインダーを覗いても全く分かりません。

と、当初は思っていたのですが、すっかり忘れていました。

ニコンには、既にZシリーズ用に開発したフルサイズのボディー内手振れ補正ユニットがあるのでした。

 
Nikon Z 7のボディー内手振れ補正機構

としたら、それをD6の目玉商品として使わない手はありません。

という訳で、たった今ボディー内手振れ補正採用決定です。


動画機能向上(信頼度100%)


D5は既に4K動画機能を搭載していますが、EOS-1D X Mark II と比べると多少見劣りする所がありました。

例えば、5Dの4Kは一般的なUHDTV(3840×2160)ですが、EOSの4Kは映画に対応したより高精細のDCI 4K(4096x2160)に対応しています。

さらに5Dは4Kでのフレームレートが最大30Pですが、EOSは最大60Pです。

またフルHDで5Dは最大60Pで撮影できるのに対して、EOSは最大120Pで撮れますので、スローモーションも可能です。

更にEOSは4K画像の切り出し機能を持っていますので、885万画素で60コマ/秒の連写ができる事になります。

という訳で、D6においてはこの辺の動画スペックが、EOS-1D X Mark II 並みに高められると予想します。

ただしソニーが未だαシリーズで実現していない6K動画対応という事は、さすがにないでしょう。


まとめ


以上をまとめると、以下の様になります。

項目 Nikon D6の予想スペック
撮像素子 2400万画素の裏面照射型撮像素子
ISO感度
(拡張)
100~204,800
(50~3,280,000)
連写速度(電子) 20コマ以上/秒
連写速度(メカ) 14コマ/秒
背面モニター タッチパネル3.2型236万ドットチルト式
GPS 新規搭載
AF ファインダービュー:D5と同等
ライブビュー:Z6と同等
ボディー内手振れ補正 新規搭載
動画 4K/60P等(EOS-1D X Mark II と同等)
(太字がD5より改善された箇所を指す)

もしこの表通りだとしますと、完全に新規なのは①ISO感度と②電子シャッターによる高速連写と③動画機能(いずれも電子系)だけで、その他の新たに搭載された機構(いずれもメカ系)は全てZ 6とD850の流用になります。

という事は、D5と比べて開発費がかなり浮いたのは間違いありません。

となると、Nikon D5の発売当初の値段が75万円ですので、気になるNikon D6のお値段は60万円台前半(もしくは50万円台)に収まるのではないでしょうか。

さて、本書の予測はどこまで当たるか、お楽しみに。

おっと、最後にもう一つ。


Nikon D5の上視図

ボディー内手振れ補正とチルト式背面モニター採用に伴い、D6本体部の厚みが若干増すかもしれません。

この重量増加分を、どうやって帳消しにするか?

これも、発売時の見所と言えます。




Nikon D6のスペック予測





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