どう考えても不合理なバリアングルモニター

2020/11/27:発行

はじめに


何とかならないものでしょうか?

EOS Rシリーズに付いている、あのにっくきバリングルモニターは。


EOS Rのバリアングルモニター

以前はチルト式背面モニターが主流だったのですが、動画の普及が影響しているのか、次第にバリアングルモニターを採用する機種が増えてきました。


ついにバリアングルモニターを採用したソニーα7S III

それが本当に万人にとって最適なのでしたら、何もこんなに悪態をつかずに我慢して使うのですが、何をどう考えてもそうとは思えません。

バリアングルファンには誠に申し訳ないのですが、何故そう思うのか、これからじっくりお話させて頂ければと思います。


構図が決まらない


バリアングルモニターで横位置撮影をする場合、レンズの光軸とズレているため、構図が決め難いのは既にご存知の事でしょう。

ついでに言わせて頂けると、バリアングルモニターは(理由は不明ながら)どの機種も180度開かないのです。


175度(公称値)しか開かないEOS Rのバリアングルモニター

すなわち、光軸からズレているだけではなく、どの機種も数度光軸から傾いているのです。

ちなみに、180度開かない状態でモニターを上に向けると下の様になります。


こんな状態で構図を決められるのか

これでモニターを見ながら構図が決められたら、まさに神業です。


真っ直ぐ近寄れない


上記は静止画の場合です。

ですが、動画の場合はバリアングルの方が使い易いと主張される方は、少なからずいらっしゃるのでしょう。

ですが敢て言わせて頂きますと、もしそう主張されている方がいらっしゃいましたら、恐らくその方は実際にバリアングルモニターを使って真剣に動画を撮ってみた事が無い方です。

では実際に撮るとどうなるかと言えば、カメラを抱えて被写体に近づいていくと被写体が中央からズレたり、左右に振れたりするのです。

嘘だと思ったら、是非試して頂ければと思います。

静止画でまともに構図が決められないのですから、当然と言えば当然の話です。

一方チルト式の場合でしたら、まるで被写体に吸い寄せられる様にとまでは言いませんが、明らかにバリアングルモニターより安定して被写体に近づけます。

にも関わらず、動画にはバリアングルモニターが向いているとは、一体どこの誰が宣(のたま)っているのでしょうか?

もしバリアングルモニターを見ながら被写体に真っ直ぐ近づけられるのでしたら、これもまた神業としか言いようがありません。


自撮り撮影


そう言うと必ず、バリアングルモニターは自撮りができるから便利だと思われるかもしれません。

ですが小サイズフォーマットのカメラならいざしらず、一体どこの誰が重いフルサイズのカメラとレンズを付けて自撮りをやるのでしょうか?

もし1分以上片手でカメラを持ってブレずに自撮りができたら、それこそ正にゴッドハンドです。

確かに三脚を使えばバリアングルモニターを見ながら自撮りも可能なのですが、果たして大柄のカメラを使って自撮りをされる方が、世の中に何人いらっしゃるのでしょうか?

ちなみに鏡をカメラ上部のアクセサリシューに付ければ、どんなカメラでも自撮りは可能なのですが、そんな事をしている人を今までに見た事はありますでしょうか。


縦位置撮影頻度


上記の様な問題がありながら、何故EOS Rシリーズは全機種バリアングルモニターを採用しているのでしょうか。

不思議でしょうがなかったのですが、マイナビニュースのキヤノンのインタビュー記事を読んでその理由が分かりました。

その理由は、縦位置撮影でも使える様にするためとの事です。

なるほど、さすがキヤノン。

と言いたい所ですが、残念ながらそれも何の説得力もありません。

何故ならば、そもそも横位置撮影に対する縦位置撮影の頻度はどれくらいなのでしょうか?

横位置撮影を不便にしてでも優先させる程の頻度なのでしょうか?

正確な所は不明ですが、縦位置撮影の頻度はどうみても全体の1/10以下とまでは言いませんが、(人にもよるでしょうが)平均すれば1/5以下なのは間違いないでしょう。

更にその縦位置撮影において、ファインダー撮影では難しい様なローアングルやハイアングルの撮影となると、全体の比率からすれば更に小さい(恐らく数十分の一)と言えるでしょう。

またバリアングルの宣伝文句には、決まって縦位置撮影でのローアングルとハイアングルでも使えるとありますが、(ローアングルならまだしも)実際に自分の身長以上の高さから縦位置で撮影する人はいるのでしょうか?

にも関わらず、最も頻繁に行う横位置撮影で使い辛くなるバリアングルモニターを採用するというのは、一体どういう思考経路なのでしょうか?

これこそ正に本末転倒と言えるのではないでしょうか。

少々オーバーな例えになるかもしれませんが、クルマがバックし易い様に、運転席をクルマの後ろに設けるのと似た様なものです。


トリミング


そういうと、縦位置撮影をないがしろにしていると思われるかもしれませんが、そんな事はありません。

ご存知の様に今どきのデジカメは2400万画素以上が一般的ですので、取り敢えず横位置で撮っておいて後で縦位置にトリミングしてもまだ1000万画素もありますので、A3程度まで楽にプリントできるのです。


フルサイズを2:3でトリミングすればAPS-Cサイズと同じになる

だったら、何も寝っ転がってまで縦位置撮影にこだわる必要もないでしょう。

ましてや4000万画素以上の高画素機においては、横位置のまま縦位置撮影もできているのが、最大の魅力と言っても良いほどです。


強度


幸いまだバリアングルモニターを破損させた事はないのですが、チルト式の両持ちで左右2つの回転軸とバリアングルの片持ちの2軸とでは当然ながらチルト式の方が間違いなく強度は上です。

ですので、モニターを開いた状態でのタッチパネルを押した時の剛性感もチルト式の方が上です。

またバリアングルモニターを大きく横方向に開いた状態で、逆回転方向にぶつけたらと思うとゾっとしてしまいます。


操作性


チルト式の最大の魅力は、何と言っても操作性でしょう。

180度回転させなければ上にも下にも向かないバリアングルモニターより、モニターのフチを少し引き出すだけで上にも下にも向くチルト式の方が断然有利です。

これに異論を唱える方は、さすがにいらっしゃらない事でしょう。


保護


最後にこれもお伝えしておきましょう。

バリアングルモニターは液晶面を内側にして本体に格納できます。

ですが液晶画面のキズや汚れが心配ならば、保護用のフィルムを貼付(ちょうふ)すれば済む事です。

もしバリアングルモニターであっても、液晶面に保護フィルムを貼ったとしたら、コスト的には全く同じ事ですので、この優位性はきれいに消え去ってしまいます。

またうっかり液晶面を内側にして格納すると、モニターを見るのに更に液晶面を上下に反転するという儀式が増えるという弊害も発生します。

そんな訳バリアングルモニターであれば液晶面を保護できると言うのは、戯言(たわごと)とは言わないまでも、こじつけと言った方が良いかもしれません。


まとめ


以上を表にまとめますと、以下の様になります。

チルト式 バリアングル
静止画の構図
まともに構図を決められない
動画撮影
まともに被写体に寄れない
自撮り
ただし重いカメラとレンズを使って自撮りする人などまずいない。
縦位置撮影
ただし今どきのカメラであれば、横位置の写真をトリミングして縦位置にできる。

ただし縦位置撮影でローアングルやハイアングルを撮るケースは、横位置撮影に比べて遥かに少ない。
強度
保護
ただし保護フィルムを貼れば同じ

そんな訳で幣サイトとしては、あらゆる観点から考えて、バリアングルよりチルト式の方が実用的で理に適っている確信しているのですが、いかがでしょう。

最後に、(何だかんだと言われながらも)チルト式モニターを頑張って堅持(D5000シリーズを除く)してくれているニコンに声援を送りたいと思います。


ニコンのミラーレス一眼は全機種チルト式モニターを採用

そう言いながらも、ニコンからバリアングルモニターを採用したミラーレス一眼が発売されたらどうしましょう。




どう考えても不合理なバリアングルモニター




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