PL(偏光)フィルターの使い方
(PLフィルターに価格相応の差があるのか比べてみた)

2018/1:発行
2020/6:更新

目次



1. はじめに


コントラストを上げたり、水面の反射を抑えたりと、晴れた屋外で風景写真を撮るのにPL(偏光)フィルターは欠かせません。

何を隠そう、実は本サイトのカバー写真も実はPLフィルターを付けて撮っているのです。


PLフィルターを使用した幣サイトのカバー写真

ですが、意外に知らない事もあります。

例えば、

①PLフィルターを使うとどのくらい光量が落ちるのか?

②高価なPLフィルターと安価なPLフィルターでは、偏光効果はどの程度違うのか?

③CPL(円偏光)フィルターとクラシックPLフィルターでは、どの程度偏光効果が異なるのか?

④PLフィルターを使って偏光効果を弱めた場合とPLフィルター無しでは、どの程度画像は異なるのか?

本書では、意外に知られていないそれらの謎を、撮り比べて調べてみましたので、その結果をお知らせしたいと思います。

なお本書では、下の表にある様に1/4波長板の無いPLフィルターをクラシックPLフィルター、1/4波長板の有るPLフィルターをCPLフィルター、そして両方を総称してPLフィルターと呼ぶ事にします。

PLフィルター
クラシックPLフィルター
(1/4波長板無し)
CPLフィルター
(1/4波長板有り)


2. 使用した機材


それでは先ず、今回使用した機材をご紹介したいと思います。

今回用意したPLフィルターは以下の3種類です。


Kenko PRO1D CPL

K&F CPL

Kenko PL

一番左のKenkoのPRO1D CPLは高価なCPLフィルターで、今回使用した67mmサイズで7000円近くもします。

それに対して K&F Concept のCPLフィルター(中央)は、同じ67mmサイズで1500円程度で購入できます。

この価格差が、写真にどれくらい影響するかどうか興味のある所です。

上記2枚はAFでも使用できるCPLフィルターでしたが、最後のKenkoのフィルターはクラシックPLフィルターで、一昔前に購入した物です。

果たしてCPLフィルターと、クラシックPLフィルターで違いがあるかも興味がある所です。

これら3枚のPLフィルターを使って、写真を撮り比べてみたいと思います。


SONYのα7R II+FE 24-70mm F4 ZA

なお使用したカメラは、SONYのα7R IIでレンズはFE 24-70mm F4 ZA です。


3. 光量低下の度合い


それでは早速PLフィルターを使ったら、どの程度光量が低下するか調べてみたいと思います。

下のチャートは、フィルター無しと上記の3種類のPLフィルターを使って、シャッター速度を変えて撮影した写真になります。



いずれも絞りはF5.6で、ISO感度は100です。

またそれぞれのPLフィルターを回転させて、上段は偏光効果が最大で、下段は偏光効果が最も弱い状態で撮影しています。

これのチャートをご覧頂きます様に、PLフィルターを使うとかなり光量が落ちる事が分かります。

また、偏光効果が大きいほど光量が低下する事も分かります。

ちなみにフィルター無しの1/350秒の写真が適正露出だとすると、赤枠で囲んだ写真がPLフィルターを付けた状態で同じ明るさの写真になります。

これからすると、Kenkoの両フィルターはいずれも偏光効果が最大の場合で2段階(2EV)、最少の場合でも1.5段階(1.5EV)の光量低下があると言えます。

それに対してK&FのCPLフィルターは、偏光効果が最大の場合で1.5段階(1.5EV)、最少の場合でも1段階(1EV)の光量低下があります。


という事は、K&FのCPLフィルターの光量低下はKenkoの両PLフィルターより0.5段少なくて済みますので、この点においてはK&Fの方が有利であると言えます

となると、何となくK&Fの方が偏光効果が低いのではないかと思ってしまいますが、はたしてそうでしょうか?

と言う訳で、次に偏光効果を比べてみたいと思います。


4. 偏光効果大での比較


それでは偏光効果の違いを、写真で見比べてみましょう。

下の4枚の写真は、先ほどの赤枠で囲んだ写真のうち、偏光効果が大きいものを抽出したものです。


これを見る限り、どれも大差ないといった感じではないでしょうか。

強いて言えば、空の青さを見比べるとKenkoのPLとCPLの方が、K&FのCPLより若干濃い様にも感じますが、その差は僅かです。

先程お伝えしました様に、KenkoのCPLフィルターはK&FのCPLフィルターより5000円以上高いのですが、これを見る限り安いフィルターでも十分だとも言えます。

そして更に興味深い事は、高価なKenkoのCPLフィルターと一昔前のKenkoのPLフィルターの画像を比べると、両者に差が認められないという事です。

PLフィルターは、ヨウ素系化合物を含んだフィルムを引き延ばして製造するので、一般的に劣化し易いと言われているので、もしかしたら新品のPLフィルターならばもっと偏光効果が高かった可能性もあります。

実際CPLフィルターには、偏光フィルムの背面にさらに1/4波長板と呼ばれる、偏光された光を進行方向に対して回転させる薄い水晶板が追加されていますので、光学上は好ましくはありません。


ですので、もし低コストで最大限の偏光効果を求めるのでしたら、クラシックPLフィルターが狙い目になるという事です。

まとめますと、以下の様になります。

①高価なCPLフィルターと廉価なCPLフィルターの偏光効果を比べると、高価な方が優れているが、その差は僅かである。

②今回の比較試験においては、一昔前のクラシックPLフィルターでも、高価なCPLフィルターと同じ程度の偏光効果を出せた。



5. 偏光効果小での比較


次は偏光効果が小さい場合を比較してみたいと思います。

PLフィルター無しと同じ様な画像になるのでしょうか?

下の4枚の写真は、先ほどの赤枠で囲んだ写真のうち、偏光効果が小さいものを抽出したものです。


これをご覧頂きます様に、PLフィルターの効果を最少にした場合、フィルター無しの場合よりコントラストが低下する事が分かります。

一見PLフィルター有りの画像は露出が明るい様に思われるかもしれませんが、画面右側のビーチの濃度がほぼ同じである事から、露出もほぼ同じであると分かって頂けると思います。

これから言える事は、PLフィルターの効果を最少にすると、フィルター無しの場合よりコントラストが低下するという事です。

PLフィルターを付けっぱなしにする場合、気を付けなければいけません。


6. まとめ


①PLフィルターを使うと、偏光効果大の場合で2~1.5段階、偏光効果小の場合で1.5~1段階の光量低下がある。

②高価なCPLフィルターと廉価なCPLフィルターの偏光効果を比べると、高価な方が優れているが、その差は僅かである。

③一昔前のPLフィルターでも、高価なCPLフィルターと同じ程度の偏光効果がある。


④PLフィルターの効果を最少にすると、フィルター無しの場合よりコントラストが低下する。


7. おまけ


さて本件はこれでお仕舞なのですが、実は本記事を作成している最中に、PLフィルターに関してとんでもない事に気が付きました。

かなり耳寄りな話ですので、是非次を覗いてみて頂ければと思います。


PLフィルターの使い方




ご意見、ご感想等ありましたら是非こちらに。
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