キヤノンのフルサイズミラーレスは、
2年以内にソニーを追い抜く

2019/11/14:発行


はじめに


2018年10月25日に満を持して発売されたキヤノン初のフルサイズミラーレス一眼EOS Rと、その翌年(2019年)の3月に発売された普及クラスのEOS RP。


それからほぼ1年が過ぎようとしますが、今の所専用のRFレンズは10本のみとあって、販売台数も期待した程伸びてはいない模様です。

ただしキヤノンの2019年3Q決算発表においては、堅調に数量を伸ばしたと表明していますので、ほぼ予定通りなのかもしれません。


RFマウントレンズは2019/9末時点で8本(発表10本)

一方先行するソニーは、併売している旧モデルを含めると本体が9台で、専用レンズは既に30本以上に及び、2018/3に発売されたα7 IIIは快進撃を続けている様です。




フルサイズ対応のEマウントレンズ群

ちなみにキヤノンとソニーのラインアップの台数を表にして比較すると以下の様になります。

種類\メーカー キヤノン ソニー
本体 2台 9台
レンズ 10本 30本
コンバータ 0本 4本

ソニーからフルサイズミラーレス一眼である初代α7が発売されたのが、2013年10月と今から6年前ですので、本体やレンズを一通り揃えるには、それくらい時間が掛かると誰もが思われる事でしょう。

ですが本サイトでは、その心配は全く無用で、今後2年以内にキヤノンはソニーに追い付き追い抜くと予想します。

何故ならば、という話をこれからじっくりお伝えしたいと思います。

なお本書は今までアップした以下の記事の総集編になりますので、内容に一部重複があります事、ご容赦願います。


新マウント立ち上げの知られざる苦労


さて、いきなり本題に入る前に、新マウントシステム立ち上げについてお話したいと思います。

皆さんはどう思われるでしょう。

もしEOS Rの様な新マウントシステムを立ち上げるとなると、マウントのサイズや電子接点の数や配置を決めたら、後はひたすらカメラとレンズを開発すれば良いのでしょうか?


EOS RのRFマウント

確かに新しいカメラメーカーが、初めてカメラを造るのでしたら、それで良いのですが、キヤノンをはじめとする既存のカメラメーカーが新マウントを立ち上げるとなるとそうはいきません。

最も手間が掛かるのは、従来のレンズとの互換性の確認なのです。

EOS Rも新しいRFレンズの事だけを考えて造れれば、こんな楽で楽しい事はないのですが、いかんせん市場に1億本以上もあるEFレンズを軽視する訳にはいきません。

とは言え、EFマウントも当然ながら電気、メカ、ファームの図面があるので、互換性を考慮した新マウントを設計する事自体は、それほど難しい事ではありません。

ですが、大変なのはその評価です。


互換性評価終了


ご存知の様にキヤノンのEFレンズは他社よりも多く存在しますので、その評価はとんでもなく大変だった事でしょう。

そう聞くと、EOS Rに1本ずつレンズを装着して、撮影するだけだろうと思われるかもしれませんが、そんな単純な話ではありません。

恐らくレンズ1本当たりのチェック項目は、画像、メカ、電気、ファームを合わせ数百点に及ぶのではないでしょうか。

そんなに?と思われるかもしれませんが、中には静電ノイズを掛けたり、放射される電磁波(ノイズ)を測ったり、高温試験や低温試験、さらには防塵防滴試験をしたりと、RFレンズを装着した場合と同程度の評価が行われたと思われます。

ちなみに、SONYの一眼レフ用レンズであるAマウントレンズの本数と比べると、以下の様になります。

種類\レンズ キヤノン
EFレンズ
ソニー
Aマウントレンズ
フル APS-C フル APS-C
ズームレンズ 20 11 6 8
単焦点レンズ 29 1 12 2
マクロレンズ 4 2 2 1
シフトレンズ 6 0 0 0
小計 59 14 20 11
総計 73 31
キヤノンとソニーの一眼レフ用レンズの本数の比較

上の表をご覧頂きます様に、キヤノンのEFレンズはソニーのAマウントレンズよりも2倍以上あるのです。

上記は現行品の数ですが、生産中止を合わせるとキャノンの場合175本で、ソニーの場合139本にも達します。

そう聞くとキヤノンとソニーで互換性評価に関して、大差はないと思われるかもしれませんが、ソニーのAマウントレンズには手振れ補正は一切搭載されていません。

おまけにAFモーター非搭載のAマウントレンズは専用のマウントアダプターで駆動するか、マニュアルフォーカスで使う事から、互換性評価はキヤノンよりかなり楽になります。

この大変な確認作業が、EOS RとEOS RPにおいて終了したのです。

この”EOS RとEOS RPにおいて終了した”というのも注目点です。

推測ですがEOS Rのマウント筐体は金属で、EOS RPはモールドではないでしょうか?

もしそうだとしたら、新しいRFマウントの互換性は金属製筐体とモールド製筐体で十分検証されたと言えますので、例えモールドの筐体であってもこの部分の信頼性が大幅に高まっているのは間違いありません。

ご存知かもしれませんが、α7発売当時レンズマウント部を指で押すとベコベコへこむと市場から指摘を受けたのも、記憶に新しい所です。

またキヤノンのインタビューで、RFマウントのフランジバックを20mmに設定した理由は、強度を確保するため、と述べているのはEOS RPのモールド製筐体を考慮した結果かもしれません。

更に、一眼レフのEOSに装着したのと同じ様に全EFレンズを何の制限もなく使える様にしたのですから、大したものです。(ただし、一部のEFレンズでAF測距エリアが小さくなる物もあり)

これまた余談になりますが、この点に関して一番有利だったのが突如フルサイズミラーレス一眼に参入したパナソニックではないでしょうか。


過去のレンズとの互換性評価が一切必要の無かったLumix S1

なにしろパナソニックは、今までフルサイズ機を一切製造していなかったため、自社製の過去の遺産が全くありません。

ですので、互換性評価も不要なので、Lumix Sシリーズの開発リソースを全て新しいカメラとレンズだけに集中できます。(一部のライカ製レンズは評価したかもしれませんが)

そう考えると、いきなりプロ対応のSシリーズをリリースできた理由も何となく理解できます。


最終モデルとなるかもしれない一眼レフの開発


互換性の評価と共に、キヤノンとしてはもう一つやらなければいけない事があります。

それは、もしかしたら最終モデルになるかもしれない一眼レフの開発です。

どのカメラメーカーにおいても、一眼レフとミラーレス一眼を共存させると言ってはいるものの、今後は技術的に将来性のあるミラーレスに開発の軸足を移さざるを得ません。

となると、一眼レフファンの需要に応えるために、今後数年は第一線で使える渾身の一眼レフを発売しておく必要があります。

例えばソニーの場合、APS-C対応の一眼レフであるα77 IIを2014/6に、そしてフルサイズ対応の一眼レフα99 IIを2016/11に発売しました。


Aマウンの最終モデルとなりそうなα77 II(2014/6発売)とα99 II(2016/11発売)

いずれも目立たない存在ながらも、ミノルタ時代から30年以上も続いたAマウントカメラ(の恐らく最終モデル)として高い完成度を誇っています。

実際新しいAマウントレンズが、2015年6月以降1本も発売されていない事から見ても、上の2機種が最終モデルになるのはほぼ間違いないでしょう。

これによってソニーは、ミラーレス一眼の開発にリソースを集中できました。

一方ニコンの場合は、APS-Cサイズの高級一眼レフであるNikon D500を2016/4発売に、そしてフルサイズの高級一眼レフNikon D850を2017/9に発売しました。


Nikon D500(2016/4発売)とNikon D850(2017/9発売)

これまた両機とも、非常に完成度の高いモデルで、これ以上の機種はおいそれとは出せないだろうと思わせるほどの出来映えです。

すなわち、ニコンとしてもこれを最終モデルと決めたわけではないものの、もしかしたら最終モデルになるかもしれないと思って開発したのは間違いないでしょう。

それはひとえに、(ソニーと同様)ミラーレス機にリソースを集中させるためです。

そう言うと、プロ用の一桁シリーズや入門機はどうなると心配される事でしょう。

一桁シリーズについては今後発売されるNikon D6が最終モデルになるかもしれませんし、入門機はこれから発売されるミラーレス機に移行する事になるのでしょう。


開発発表されたプロ用一眼レフのNikon D6

ですので現在ニコンで開発されている一眼レフは、Nikon D6と同じくフルサイズの中級機であるNikon D750の後継機(後述するEOS 90Dの競合機)だけかもしれません。

ではキヤノンはどうなのでしょう。

最近(2019/9)発売されたEOS 90Dは、先代のEOS 80Dとその上位モデルであるEOS 6Dを統合した様なモデルですので、明らかにAPS-Cサイズ一眼レフの最終モデルとなる事を強く意識しています。


EOS 90D(2019/9発売)とEOS 5D Mark IV(2016/9発売)

またプロ用のEOS-1Dシリーズにおいては、今後EOS-1D X Mark IIIが発売されるとして、問題はEOS 5D Mark IVです。


2019年10月24日に開発発表されたEOS-1D X Mark III

EOS 5D Mark IVは背面モニターが依然固定式なのをはじめとして、最終モデルとなるには明らかに役不足です。

という訳で、キヤノンはEOS-1D X Mark IIIEOS 5D Mark Vをリリースした暁には、一眼レフのリソースを全てミラーレス一眼に回す事が可能となります。

そしてその日は、かなり近いのは間違いありません。


開発リソースの比較


それでは次に、キヤノンがミラーレス一眼に開発リソースを集中した場合、ソニーとのリソースの差を見積もってみたいと思います。

当然ながら開発リソースについては、企業秘密なので正確には分かりませんが、製品数を見れば凡その比較はできます。

例えば、自動車メーカーでしたら、販売車種の数を見れば凡その開発リソースが図れます。

ではその観点から、キヤノンとソニーとでは、どれくらい開発リソースの差があるのでしょう。

と言う訳で、両社のフルサイズミラーレス一眼が発売された時点での、一眼レフの台数を比べてみたいと思います。

キヤノン ソニー
フルサイズ APS-C フルサイズ APS-C
1 EOS-1D X Mark II EOS 7D Mark II α99 α77 II
2 EOS 5D Mark IV EOS 80D α65
3 EOS 5Ds EOS Kiss X10 α58
4 EOS 5Ds R EOS Kiss X9i
5 EOS 6D Mark II EOS 9000D
6 EOS Kiss X9
7 EOS Kiss X90
5台 7台 1台 3台
総計 12台 4台

上の表をご覧頂きます様に、総計の単純計算では、キヤノンの一眼レフのリソースはソニーの3倍ある事になります。(フルサイズだけで比べると、5倍の差)

という事は、これらのリソースを全てミラーレス一眼の開発に回したとすると、ソニーが3年掛かる所をキヤノンは1年で、そしてソニーが6年掛かる事を、キヤノンは2年で可能という事です。

そう書くと、それはフルサイズ一眼とAPS-Cサイズ一眼の両方のリソースをフルサーズミラーレスに回した場合だと言われるかもしれませんが、それはソニーでも同じ事です。

すなわち、いずれのサイズのミラーレス一眼であっても、それに回せるキヤノンのリソースはソニーの3倍あるという訳です。

またレンズに関しては、(既にお伝えしました様に)キヤノンのフルサイズ一眼レフ用(EFレンズ)が59本、ソニーフルサイズ一眼レフ用(Aマウントレンズ)が20本ですので、やはり3倍のアドバンテージがあります。

と言う訳で、これらのリソースを一気にミラーレス一眼に集中すれば、3倍の速さでソニーを一気に抜き去ると予想できます。


Lレンズから開発開始


ついでにこの話もしておきましょう。

RFマウントレンズが一気に揃うもう一つの理由が、開発が難しい高級なLレンズから発売した事です。

技術的に難しいレンズから開発する事によって、早い時点でRFマウントの問題点を抽出できますし、更に数が少ないながらもこのLレンズを使ったプロからの良質な問題点指摘を吸い上げる事が可能ですので、新マウントの完成度を早い時点で高める事が可能になります。

もしこれを逆に進めたとなると、Lレンズ開発に伴って発生した問題をRFマウント側で対応できなかったり、市場からの指摘がアマチュア層からだけで、プロの意見を吸い上げられないと言った問題が発生し、新マウントの熟成に却って時間が掛かります。

この点、キヤノンは良く考えているなと感心させられます。

その昔(1985年)ミノルタから世界初の本格的AF機能を備えたα7000が売り出され、カメラ業界に激震が走りました。


カメラ業界に激震を与えたミノルタのα7000

それから遅れる事2年後の1987年に、ようやくキヤノンからAF機能をシステム化したEOS 650が発売されました。


本格的なAF機能を搭載したキヤノンのEOS 650

この新EFマウントは、既にご存知の様に完全電子接点を採用しており、その数年後ミノルタを抜き去りトップに返り咲いのはご存知の通りです。

もしかしたら、難しいレンズから開発した方が効率的だとの考えは、このEFレンズ立ち上げ時に残された教訓だったのかもしれません。

ミノルタを吸収したソニーには大変申し訳ないのですが、30年前と同じ事がまた起こると本書は予想する次第です。


今後2年以内にリリースされるミラーレス一眼


ここまで読んで頂ければ、本書の予想もあながち絵にかいた餅ではない事をご納得頂けるのではないでしょうか。

となると、次は楽しみな新製品予測です。

クラス\年代 2019 2020 2021 ソニー
プロ機 EOS R1 α9 II
高画素機 EOS RR α7 R III
高級機 EOS R5
高感度機 EOS RS α7 S III
標準機 EOS R α7 III
入門機 EOS RP
特殊機 EOS Ra

上の表は本書が予想した、新RFマウントカメラの発売日程です。

既にお伝えしました様に、来年には一眼レフの代表格であるEOS 5D mark IVの後継機がリリースされます。

これと同じ撮像素子と作像エンジンを搭載したEOS R5が、ほぼ同時期にリリースされるというのが本書の読みです。

また同じボディーを流用した、高画素モデルと高感度モデルもその後リリースされると読んでいます。

更にその翌年には、いよいよプロ用モデルであるEOS R-1の登場です。

基本となる撮像素子や作像エンジンはEOS-1D X Mark IIIを流用するのでしょうが、ミラーレス一眼という事で、動画機能が更に強化されると読んでいます。


今後2年以内にリリースされるRFマウントレンズ


続いて、今後2年以内に発売されるRFマウントレンズを予測してみたいと思います。

その指標となるのが、先行しているソニーのフルサイズEマウントレンズです。

既にお伝えしました様にソニーのフルサイズEマウントレンズは、2019/10末時点で丁度30本存在しますが、これにRFマウントレンズの発売時期を勝手に追加してみます。

#? レンズ ソニーフルサイズ
Eマウントレンズ
キヤノンRFレンズ
2019 2020 2021
1 12-24mm F4.0
2 16-35mm F2.8
RF15-35mm F2.8 L IS USM
3 16-35mm F4.0
4 24-70mm F2.8
5 24-70mm F4.0
6 24-105mm F4
7 24-240mm F3.5-6.3
8 28-70mm F3.5-5.6
9 RF28-70mm F2 L USM
10 28-135mm F4.0
11 70-200mm F2.8
12 70-200mm F4.0
13 70-300mm F4.0.5-5.6
14 100-400mm F4.0.5-5.6
15 200-600mm F5.6-6.3
16 24mm F1.4
17 28mm F2
18 35mm F1.4
19 35mm F1.8
20 35mm F2.8
21 RF50mm F1.2 L USM
22 50mm F1.4
23 50mm F1.8
24 50mm F2.8 Macro
25 55mm F1.8
26 RF85mm F1.2 L USM
27 RF85mm F1.2 L USM DS
28 85mm F1.4
29 85mm F1.8
30 90mm F2.8 Macro
31 135mm F1.8
32 300mm F2.8
33 400mm F2.8
34 600mm F4.0
35 100mm F2.8 STF
30 10 10 15

なお上記選定基準は、単焦点レンズは明るいレンズ優先で、暗いレンズは後回し。

ただし営業上どうしても必要な、中三元と呼ばれるF4通しの広角/標準/望遠ズームは来年発売と予想しておきます。

また望遠レンズは、ズーム優先としていますが、どうなるでしょうか?


まとめ


さてまとめです。

本書では以下の4つの理由により、RFマウントのカメラとレンズはこれから2年以内にソニーに追い付き追い抜くと予想します。

①一番手間の掛かるEFレンズの初期互換性評価が終了した。

②間もなく発売されるであろう一眼レフのEOS-1D X Mark IIIとEOS 5D Mark Vの開発が終了すれば、当面一眼レフの開発リソースをミラーレス一眼に集中できる。

③キヤノンの開発リソースは、ソニーの凡そ3倍もある。

④難易度の高いレンズから開発を進めた事により、RFマウントシステムの完成度が高く、今後廉価版レンズの開発が容易になる。


当然ながらソニーもこの事は百も承知で、今後更に積極的に新製品を投入していくでしょうが、果たしてキヤノンとニコンの追撃をどこまでかわせるでしょうか?

そしてダークホースである、パナソニックとシグマはどこまでこのレースに食い込んでいけるでしょうか?

そして電子ビューファインダーやAF性能、更には撮影可能枚数は、どこまで一眼レフの性能に迫れるでしょうか?

ここ暫く、フルサイズミラーレス一眼の動向から目を離せません。




キヤノンのフルサイズミラーレスは、2年以内にソニーを追い抜く





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