暗闇に強いミッドサイズ高感度カメラベスト10

2019/8:発行
2019/11:EOS 90D追加

はじめに


前回フルサイズデジカメにおける高感度ベスト10をご紹介しましたが、今回はその第2弾としてフルサイズより一回り小さな撮像素子(APS-Cサイズ、4/3サイズ)を搭載したミッドサイズデジカメにおける高感度機種をお伝えしたいと思います。


フルサイズのEOS RP(左)とAPS-CサイズのEOS Kiss M(右)

フルサイズ機より小型軽量で、更に価格的に手の届きやすいデジカメで星を撮ってみたいと思う方は、是非参考にして頂ければと思います。

尚おまけとして、4/3サイズより更に小さな1インチと1/2.3インチ撮像素子を搭載したデジカメの高感度特性も併せて載せておきましたので、参考にして頂ければ幸甚です。


撮像素子が小さいと高感度特性が不利になる


それではミッドサイズデジカメのISO感度スパンをお見せする前に、(ある下心があって)先にフルサイズデジカメのISO感度スパンをお見せしたいと思います。


フルサイズデジカメのISO感度スパン

これはフルサイズデジカメのISO感度の範囲を横棒にして、それを更に最大常用ISO感度順に並べたものです。

それでは次に、本題である小サイズデジカメのISO感度スパンのチャートをお見せします。


ミッドサイズデジカメのISO感度スパン

この2つのチャートを見比べて頂きますと、横棒の長さがかなり違う事に気付いて頂けると思います。

もう少しアカデミックに言うと、撮像素子が小さくなればなるほど、ISO感度の幅が狭くなり、更にISO感度1,600近辺を中心に低感度特性も高感度特性も共に低下しています。

本来下の絵の様に撮像素子が小さくなれば、受光量が低下しますので、ISO感度スパンは短くなって且つ全体的に左側(低感度側)にシフトする筈です。


撮像素子が小さくなれば高感度特性は低下する

ところがこの様にスパンの左右両端が短くなるという事は、各社とも低感度特性よりも、高感度特性を優先している事が分かります。

もう少しストレートに言わせて頂ければ、ミッドサイズデジカメの場合、フルサイズより多少無理して高感度を上げていると言えるかもしれません。

この事を知って頂いた上で、これからランク付けを進めていきたいと思います。

なお前回は全てフルサイズ機でしたので機種別にベスト10をお伝えしたのですが、今回は撮像素子のサイズがメーカー毎に異なる事もあり、メーカー別にベスト10を発表させて頂きたいと思います。

前口上が長くなってしまいましたが、それではいよいよミッドサイズデジカメにおける高感度カメラベスト10の発表です。


第1位:ニコン(最大有効ISO感度6,400)


ミッドサイズ機における高感度のトップは、ニコンのNikon D500です。


APS-Cサイズの撮像素子を搭載したニコンのフラッグシップ機 Nikon D5(2,000万画素)

本機はAPS-Cサイズの撮像素子を搭載したモデルながら、ニコンのフラッグシップであるNikon D5のコンポーネントを多数流用しており、正にAPS-Cサイズ機におけるプロ用モデルと言っても過言はないでしょう。

画素数は2,000万画素と、一般的な2,400万画素より感度的には有利なのですが、それでも最大常用ISO感度51,200を達成しているのは立派です。

既にフルサイズデジカメにおける高感度ベスト10でお伝えしました様に、最大常用ISO感度の1/8が概(おおむ)ね最大有効ISO感度(ノイズが少なく一般的に使える最大ISO感度)になりますので、本機の場合最大有効ISO感度は6,400程度と言えます。

実際画像を等倍にして見ない限り、本機のISO6,400の画像は十分鑑賞に堪えます。

なお、当該チャートの中断にNikon D5600があります。


Nikon D5600(2,400万画素)

これはごくごく一般的な2,400万画素のAPS-Cサイズの撮像素子を搭載した中級機で、最大常用ISO感度は25,600です。

ですので、この場合の最大有効ISO感度は(他社機と同じ)3,200程度と思って頂いて大きな間違いではないでしょう。


第2位:ソニー(最大有効ISO感度4,000)


第2位は、(チャート上2位のペンタックスをスキップさせて頂いて)ソニーです。


ソニーの最新APS-Cサイズデジカメであるα6400(2400万画素)の最大常用ISO感度は、32,000です。

ですので、最大有効ISO感度は4,000辺りだと思われます。

またその前のモデルであるα6500(2400万画素)の最大常用ISO感度は25,600ですので、この場合の最大有効ISO感度は一般的な3,200辺りだと思われます。

できればフルサイズのα7Sシリーズの様に、画素数1000万以下で最大有効ISO感度6,400超えのモデルがあればそこそこ需要があると思うのですが、何とかならないものでしょうか。


第3位:ペタックス(最大有効ISO感度3,600)


続いては、先ほどスキップしたペンタックスです。


ペンタックスK-3 II(2,600万画素)とK-S2(2,000万画素)

ペンタックスの場合、他社と異なり(減感あるいは増感でISO感度を分類する事なく)全てを常用ISO感度として扱っています。

ですので推測ですが、K-3 IIとK-S2の画素数はそれぞれ2,600万画素と2,000万画素なので、恐らく最大常用ISO感度はいずれも25,600程度ではないでしょうか。

という訳で、両機の最大有効ISO感度は3,600としたいと思います。

ただしどちらかと言えば入門機である2,000万画素のK-S2の方が、上位機種であるK-3 IIより高感度特性は有利なのは間違いありません。


第4位:キヤノン(最大有効ISO感度3,400)


第4位は、同じくAPS-Cサイズを採用しているキヤノンです。


EOS Kiss M(2,400万画素)とEOS Kiss X9i(2,400万画素)

ここでは最新の一眼レフであるEOS 90D(3,200万画素)とミラーレス機のEOS Kiss M(2,400万画素)、それに一眼レフのEOS Kiss X9i(2,400万画素)を取り上げていますが、いずれも最大常用ISO感度は25,600です。

ですので、最大有効ISO感度は3,400辺りだと思われます。

さて、そう言うと何故ペンタックス(リコー)より下位なのだ、と思われるキヤノンファンも多くいらっしゃる事でしょう。

お応えしましょう。

実は理論的にキヤノンがペンタックスより高感度特性が劣る理由があるのです。

余り知られていませんが、キヤノンのAPS-Cサイズは一般的なAPS-Cサイズより僅かに(正確には11%)小さいのです。


キヤノンのAPS-Cサイズは他社より11%小さい

ですので、同じ画素数の撮像素子であれば、キヤノンの高感度特性は他社より理論上1割劣る事になるのです。


第5位:パナソニック(最大有効ISO感度3,200+)


第5位はパナソニックです。


動画重視のLumix GH5S(1000万画素)と静止画重視のLumix G9(1600万画素)

パナソニックのLUMIX Gシリーズは、APS-Cサイズより更に一回り小さい4/3(フォーサーズ)と呼ばれる撮像素子を採用しています。


APS-Cサイズと4/3(フォーサーズ)の比較(1:0.61)

ですが、変わり種で1,000万画素のLumix GH5Sをはじめとして、最新モデルで1,600万画素のG9や2,000万画素のGF9は、いずれもAPS-Cサイズ機で一般的な画素数である2,400万画素より少ない事もあり最大常用ISO感度25,600を達成しています。


入門機であるLUMIX GF9(2,000万画素)

という訳で、パナソニック機の最大有効ISO感度は概ね3,200程度と言えますが、1,000万画素のLumix GH5Sはもう少し実力は上かもしれません。


第6位:オリンパス(最大有効ISO感度3,200)


続いてはオリンパスです。


オリンパスのOMD E-M1XとOMD E-M1(いずれも1600万画素)

オリンパスもパナソニックと同様4/3陣営に所属しており、2,000万画素と1,600万画素の撮像素子は、いずれも最大常用ISO感度は12,800です。


オリンパスのOMD E-M10(2000万画素)

ですので最大有効ISO感度はパナソニックと同様3,200なのですが、パナソニックには1,000万画素のLumix GH5Sがあるので、オリンパスは6位とさせて頂きました。


第7位:キヤノン(最大有効ISO感度2,000)


第7位は、再登場のキヤノンです。


EOS 7D II(2,000万画素)とEOS 80D(2,400万画素)

少し古めのAPS-Cサイズの高級一眼レフEOS 7D II(2,000万画素)と、中級一眼レフのEOS 80D(2,400万画素)の最大常用ISO感度は16,000ですので、最大有効ISO感度は2,000辺りだと言えます。


第8位:フジフィルム(最大有効ISO感度1,800)


第6位はフジフィルムです。


X-Transを採用したX-T3(2,600万画素)とX-Pro2(2,400万画素)

フジフィルムはAPS-Cサイズの撮像素子(2,600万画素、2,400万画素)を採用しているのですが、何故か最大常用ISO感度は12,800と非常に控え目です。


ベイヤー配列の撮像素子を採用しているX-A5(2,400万画素)

この理由は、フジフィルムがX-Transと呼ばれる独自のカラーフィルターを搭載した撮像素子を採用しているせいかと思ったのですが、一般的なベイヤー配列の撮像素子を採用しているX-A5(2,400万画素)も同じ最大常用ISO感度である事を考えると、何か特別な理由があるのかもしれません。

となると、計算上フジフィルム機の最大有効ISO感度は1,600になるのですが、実際に使ってみると明らかにもう少し上の実力があるので、1,800にしたいと思います。


第9位:1インチサイズ(最大有効ISO感度1,600)


続いて第8位は、4/3サイズより更に小さな1インチサイズのデジカメです。


1インチサイズの撮像素子を搭載したデジカメ(RX100 IV)

ご存知の様に、1インチサイズの撮像素子を搭載したデジカメは、プレミアムコンパクトとして各社から発売されています。

本書で取り上げるのは、ソニーのRX100 IVのみなのですが、ソニーの撮像素子は他社にも外販されていますので、1インチサイズの代表機として話をさせて頂けばと思います。

そのRX100 IVの撮像素子は1,600万画素で、最大ISO感度は12,800ですので、最大有効ISO感度は1,600程度だと言えます。

なお星空を撮るにはできればISO感度3,200程度はほしい所ですが、1インチサイズでも十分撮れるのは確認済みです。


第10位:1/2.3インチサイズ(最大有効ISO感度400)


それでは最後に1/2.3インチ撮像素子です。


1/2.3インチ撮像素子搭載デジカメ(DSC-W830)

これはコンパクトデジカメやスマートフォンに多数使われています。

これもソニーのDSC-W830を例にしますと、最大ISO常用感度は3,200ですので、最大有効ISO感度は400でしかありません。

ですので、星空はほぼ無理と思った方が無難です。

同じサイズの撮像素子を搭載するスマートフォンで天の川が撮れないのは、これが理由です。


まとめ


いかがでしたでしょうか。

厳密さに欠ける面はあるのですが、凡(おおよ)その傾向はこれで掴めるのではないでしょうか。

上記をまとめますと、以下の様になります。

順位
(注)
メーカー 代表機種 最大有効
ISO感度
最大常用
ISO感度
1位 ニコン Nikon D500(2000万画素) 6,400 51, 200
2位 ソニー α6400(2400万画素) 4,000 32,000
3位 リコー K-S2(2,000万画素)
K-3 II(2,600万画素)
3,600 (25,600)
4位 キヤノン EOS Kiss M(2,400万画素)
EOS Kiss X9i(2,400万画素)
3,400 25,600
5位 パナソニック Lumix GH5S(1000万画素)
Lumix G9(1600万画素)
LUMIX GF9(2,000万画素)
3,200+ 25,600
6位 オリンパス OMD E-M1X(1600万画素)
OMD E-M10(2000万画素)
3,200 25,600
7位 キヤノン EOS 7D II(2,000万画素)
EOS 80D(2,400万画素)
2,000 16,000
8位 フジフィルム X-Pro2(2,400万画素)
X-A5(2,400万画素)
X-T3(2,600万画素)
1,800 12,800
9位 1インチサイズ RX100 IV(2000万画素) 1,600 12,800
10位 1/2.3インチサイズ DSC-W830(2000万画素) 800 6,400
注:機種が複数ある場合は、画素数が少ない順に記載しています。

本書がお役に立てば幸いです。




小サイズデジカメにおける高感度カメラベスト10





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