(ボディー内手ブレ補正だけでは役に立たない)
理想の手ブレ補正とは?

2016/05: 発行
2019/07: 更新

目次






6. 手ブレ補正に関する各社の動向


複数の交換レンズを揃える場合、ミラーレス一眼とボディ内手ブレ補正の組み合わせが、コスト的に見れば一番有利です。

ただし手ブレ補正で最も効果的な望遠系の角度振れ補正については、レンズ内手ブレ補正の方が明らかに有利です。

さらに広角から望遠まで全方位で手振れを補正するには、コストは一番掛かるものの、ボディ内手ブレ補正+レンズ内手ブレ補正がベストと言えますので、今後高級機にはボディー内とレンズ内の両方に手振れ補正が付くのは間違いないでしょう。

この観点から、現在の各メーカーの手ブレ補正に関する取り組みを見ていきたいと思います。

キヤノン


先ずデジタル一眼レフの2強の一角であるキヤノンについては、現状レンズ内手ブレ補正だけを採用しています。

種類 フルサイズ APS-Cサイズ
デジタル一眼レフ レンズ内手ブレ補正 レンズ内手ブレ補正
ミラーレス一眼 レンズ内手ブレ補正 レンズ内手ブレ補正

この理由は、コスト面と手ブレの大半を占める角度ブレに有利だから、との判断でしょう。

そう言うと、2016年末に発売されたEOS-M5や2018年に発売されたEOS Rはボディ内5軸手ブレ補正を搭載していると思われるかもしれませんが、これは電子式の手ブレ補正で動画にしか使えません。


EOS Rの手ブレ解説図(本体側は電子式の手ブレ補正)

キヤノンとしても、今後ミラーレス一眼にボディ内手ブレ補正を組み込むのは間違いないでしょう。

ただし制御するレンズが重くてレンズ内手ブレ補正を組み込むのが難しい大口径の標準から中望遠レンズにおいては、ボディ内手ブレ補正の恩恵を十分味わう事ができないのが辛い所です。


ニコン


続くニコンにおいては、キヤノンと異なり2018年発売のフルサイズミラーレス一眼において、ボディ内手ブレ補正を採用しました。

種類 フル(FX)サイズ APS-C(DX)サイズ 1"(CX)サイズ
デジタル一眼レフ レンズ内手ブレ補正 レンズ内手ブレ補正 N/A
ミラーレス一眼 ボディ内手ブレ補正 N/A レンズ内手ブレ補正

ただしニコンの場合、SONYと似た撮像素子を使っていますので、何かと競合機となるSONYの対抗上、ボディ内手ブレ補正は必須だったのかもしれません。

なおご存じの通り、表右の1インチ(CX)サイズのミラーレス機(Nikon 1シリーズ)は、2018年に生産中止になりました。


ソニー


それに続くソニーは、以下の様な構成になっています。

種類 フルサイズ APS-Cサイズ
デジタル一眼レフ ボディ内手ブレ補正 ボディ内手ブレ補正
ミラーレス一眼 ボディ内手ブレ補正 ボディ内手ブレ補正
レンズ内手ブレ補正 レンズ内手ブレ補正

上記の様に、ソニーはAマウントのデジタル一眼レフがボディ内手ブレ補正のみ、ミラーレス機がボディ内とレンズ内手ブレ補正を採用しています。


ボディ内手ブレ補正を搭載したソニーAマウントのα99 II

またミラーレス機においては、レンズ内手ブレ補正とボディ内手ブレ補正を組み合わせる場合は、角度振れはレンズ、その他はボディ内手ブレ補正で対応しています。


ソニーの手ブレ補正の組み合わせ

ソニーとしては、これを最適な手ブレ補正の組み合わせとしていますが、やはり角度振れはレンズ内手ブレ補正が優れていると認めている訳です。

ですので一般的な撮影用途で、且つ自分が必要とするレンズに手ブレ補正が付いている場合は、ボディ内手ブレ補正は不要とも言えます。

なお余談ですが、2016/12に発売されたAPS-Cサイズ対応のミラーレス機であるα6500にはボディ内手ブレ補正が搭載されました。




α6500(手ブレ補正有り)   α6300(手ブレ補正無し)

よもやこのクラスにボディ内手ブレ補正が搭載されるとは夢にも思わなかったのですが、技術は進歩は目覚ましものです。


オリンパス


続いてはマイクロ4/3陣営のオリンパスです。

種類 4/3サイズ
ミラーレス一眼 ボディ内手ブレ補正
レンズ内手ブレ補正

オリンパスのミラーレス機については、当初ボディ内手ブレ補正を基本としていたため、レンズには手ブレ補正機能は搭載されていませんでした。

ところが、2016年に発売されたM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROからは、一部の望遠レンズにレンズ内手ブレ補正機能が搭載される様になっています。

当然ながら望遠レンズで顕著となる角度振れに対しては、レンズ内手ブレ補正で対応するしかないという判断でしょう。

なおこの望遠レンズの場合、レンズ内手ブレ補正だけでも4段分の補正性能があるのに加え、ボディ内手ブレ補正とレンズ内手ブレ補正を協調動作させる5軸シンクロ手ブレ補正(Sync IS)によって、トータル6段分の手ブレ補正性能が得られるとの事です。


M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROとOLYMPUS OM-D E-M1

またこれ以外にレンズ内手ブレ補正を搭載したレンズは、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROで、これとOM-D E-M1 Mark IIと組み合わせると世界最強の6.5段分の補正が可能だそうです。

6.5段分の手ブレ補正を可能にした
ED 12-100mm F4.0 IS PROとOM-D E-M1 Mark II

マイクロ4/3は撮像素子が小さいので、その分ボディ内手ブレ補正には有利なのですが、それにしても大したものです。


パナソニック


同じくマイクロ4/3陣営のパナソニックは以下の通りです。

種類 4/3サイズ
ミラーレス一眼 レンズ内手ブレ補正
ボディ内手ブレ補正

面白い事にオリンパスと異なり、パナソニックは(キヤノンと同様)当初レンズ内手ブレ補正を基本としていました。

ですが、2013/9発売のDMC-GX7よりボディ内手ブレ補正も採用してきました。

推測ですが、動画に力をいれているパナソニックとしては、撮像素子の放熱等の問題から、当初ボディ内手ブレ補正を敬遠したのかもしれません。

実際ボディ内手ブレ補正を導入したモデル(DMC-GX7、DMC-GX8)も、動画撮影時はボディ内手ブレ補正が使えない仕様になっています。

なお2015/8に発売されたDMC-GX8は、(オリンパスと同様)新たにDual I.S.と呼ばれるボディ側の角度ブレ補正とレンズ側の角度ブレ補正を連動させる手ブレ補正機能を搭載しました。


DMC-GX8におけるDual I.S.のイメージ図

これによって角度ブレの補正範囲が間違いなく広がりますので、オリンパス同様理論上は最強の角度振れ補正と言えます。

なおこの後に発売されたDMC-GX7IIには回転ブレの補正機能が追加され、5軸手ブレ補正対応になっています。


ペンタックス


続くペンタックスは、ご存知の通りかなり異色です。

種類 フルサイズ APS-Cサイズ 1/2.3インチ
デジタル一眼レフ ボディ内手ブレ補正 ボディ内手ブレ補正 N/A
ミラーレス一眼 N/A N/A ボディ内手ブレ補正

ペンタックスは一眼レフでありながら、当初よりボディ内手ブレ補正を採用しています。

この理由は、過去のレンズ資産を生かすという意味が大きいのでしょう。


ペンタックスK-1の手ブレ補正のイメージ図

また最新のフルサイズ一眼レフであるペンタックスK-1は、デジタル一眼で世界初となる5軸手ブレ補正で最大5段分の補正効果を実現したとの事です。

恐らく広角レンズ使用時かと思ったら、ズームレンズ(HD PENTAX-D FA28-105mm F3.5-5.6ED DC WR)の f=105mm時だという事ですので、かなり立派です。

ただしこの効果をファインダーで確認できないのが、辛い所です。


フジフィルム


しんがりはフジフィルムです。

種類 APS-Cサイズ
ミラーレス一眼 レンズ内手ブレ補正
ボディ内手ブレ補正

ここはパナソニックと同様に、当初はミラーレス一眼でありながら、レンズ内手ブレ補正を採用していました。

この理由は、画質(特に周辺部の)を最優先するために、ボディ内手ブレ補正を考慮したイメージサークルになっていないとの事です。

ところが2018年に発売されたX-H1において、ボディ内手ブレ補正を搭載してきました。


フジフィルム初のボディ内手ブレ補正を搭載したX-H1

もしかしたら、小さなイメージサークルのぎりぎりを使っているのかもしれません。

それはさて置きフジノンレンズの XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WRにおける5段分の手ブレ補正は、確かに被写体が止まって見えます。


フジノンレンズ XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WRとX-T1

一度覗いてみる価値はあります。


7. 結論


以上で手ブレ補正についてかなり分かってきたと思いますので、最後に総まとめをしたいと思います。

1. 先ず一般的な撮影においては、角度振れを抑える事が最も重要であり、その場合レンズ内手ブレ補正とボディ内手ブレ補正の組み合わせが最強で、次がレンズ内手ブレ補正、最後がボディ内手ブレ補正と言える。


6.5段分の手ブレ効果を達成したレンズ内手ブレ補正とボディ内手ブレ補正

2. ただしレンズ内手ブレ補正の場合、今の所ズームレンズか広角と望遠レンズにしか搭載されていないため、もし単焦点の標準から中望遠レンズで手ブレ補正を使いたい場合、手ブレ補正効果は限定的だがボディ内手ブレ補正を選択するしかない。


ポートレート用の中望遠レンズでもボディ内手ブレ補正が効くα7R II

2. マクロ撮影を頻繁に行うのならば、シフト振れ補正のあるレンズもしくはボディがお勧めである。

3. 手持ちで長時間撮影(夜景撮影)を行うのであれば、回転振れ補正のあるボディ内手ブレ補正がお勧めである。

4. レンズを多数揃えるのならば、コストも重量も抑えられるボディ内手ブレ補正がお勧めである。

5. ただし使用する交換レンズが限られるのであれば、レンズ内手ブレ補正も十分選択肢となる。


それでは最後におまけとして、手ブレ補正の種類ごとに対応するデジカメをご紹介したいと思います。

貴方の用途に合ったデジカメ選びの参考にして頂ければ幸いです。




6. 手ブレ補正に関する各社の動向

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3. レンズ内手ブレ補正の特徴

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8. おまけ



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